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父と暮せば (新潮文庫)

価格: ¥357
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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戦争を知らない世代にもお勧めです ★★★★★
バブル期に生まれ,戦争をまったく知らない世代の者ですが
この本を読んで自分でもびっくりする位泣いてしまいました.

今までに読んだ戦争に関する本の多くは,戦争がどれだけ悲惨だったか
を全面的に押し出してくる物が多かったのですが,この本は戦争後に生き
残った人の気持ちそしてその未来に重点が置かれていたので,まっすぐ
心に響いてきました.

戦争で人々が受けた心の傷や気持ち,それが末代で二度と起こらないよう
次世代に伝える役目として,この本をお勧めします.
死者を思へ ★★★★★
劇の構造を述べることは種明かしになってしまうので止すとして、死者を思う心、人間の聖性、分裂した自己の救済などといった主旋律が見事な重奏となって胸を打つ。正直ノーベル文学賞ものではないかとも思う井上戯曲の見事な達成である。読めば分かる。

「あの二個の原子爆弾は、日本人の上に落とされたばかりではなく、人間の存在全体に落とされたものだと考えるからである。あのときの被爆者たちは、核の存在から逃れることのできない二十世紀後半の世界中の人間を代表して、地獄の火で焼かれたのだ」(作者の前口上、5頁)。

「わしゃのう、おまいの胸のときめきから、おまいの熱いためいきから、おまいのかすかな願いから現れよった存在なんじゃ。そいじゃけえ、おまいにそがあな手紙を書かせとってはいけんのじゃ」(97頁)。

今度二人が逢うのはいつの日か。「しばらく会えんかもしれん」(106頁)が、「おとったん、ありがとありました」(同頁)という感謝の気持ちとともに、彼はいつでも其処におるのであろう。
10年間の苦闘の結実 ★★★★★
この作品をメディアはよく反戦ものとして取り上げるが、それは彼らの勝手な都合によるもので、むしろメディアのエゴに利用されているのが本当のところではないだろうか。作者である井上ひさし自身も、本当に主張したいことは犠牲者たちへの「鎮魂」なのであり、「祈り」なのだと思う。実際、現在どれほどの国民が当時の犠牲者たちのことを考えるだろうか。年に一度の式典も、本来の目的から外れお祭りさわぎと政治活動の一環になってしまっている始末。反戦、戦争はいけない、そんなあたりまえのことを口にしておしまい。作者もテレビ出演などのコメントでは、そのことは一言も言ってはいない。むしろ、戦争のことは歴史の流れの必然のこととして、あまり多くは語っていない。あるいは、最初からそのことは自分の役割ではないと思っていたのか。作者がこの作品にこめた思いは、「知ってほしい」そして、「賢く生きてほしい」に尽きるのだと思う。自分の心のなかに原爆を落としてみるしか、彼らのことは理解できない、そう考えて10年の歳月の末に完成されたのがこの作品。
作者がDV加害者だとおもうと、何を偉そうに、と思う ★☆☆☆☆
逮捕されてもおかしくない、壮絶なDVをくりかえした男が、何を偉そうに平和主義だ、と思う。
作者はただの偽善者
作家の魂 ★★★★★
前口上が付されています。そこで井上ひさしさんは原爆にこだわりつづけてゆくことを宣言されています。原爆は日本人だけに向けられたものではない、人類に落とされたものである。この短い戯曲を読み進むうちに、目頭に熱を感じました。世界で唯一つの被爆国である日本。その日本は昭和20年以来一度も戦争を行っていません。これは繋がりがあるのではないでしょうか。原爆が落とされるまで「負け」を認めない民族だった日本人は、占領したアメリカを憎みませんでした。日本人が憎んだのは、日本国民を戦争に駆り立てていった不吉な軍国主義であり全体主義であり侵略思想であり歪んだ正義感だと思います。アメリカ軍がやってくるまで日本は軍部に占領されていました。戦争を行うものの本性を見たのだと思います。どんなことがあっても戦争をさせてはならない、というのが昭和一桁の心ある作家の戦後の闘いであったのではないかと感じます。たった一人取り残された広島の女性が語る日常の会話の中に、底知れぬ悲しみが秘められています。