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星と月は天の穴 (講談社文芸文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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入れ子構造を意識させられる作品 ★★★★☆
 普通の小説であれば、主人公と作者との関係については意識されるとは限らないが、この作品のように主人公の作家が小説を書いていて、しかも作中作の人物Aと自分とを重ね合わせているとなると、さらに小説中の作家矢添と吉行淳之介との関係まで考えさせられることになるので、一気に問題は複雑化する。
 タイトルからすると、「天」は世界を覆う黒いドームのようなものだということになるが、それならばそのドームの向こう側の光のある場所に、作者がいるということだろうか。
怜悧な現実主義者の到達点の一つ ★★★★★
「暗室」「夕暮れまで」に並ぶ
著者の傑作の一つ。

吉行淳之介は欺瞞を排除する。
性善説に立脚した恋愛や人との関わり。
そのスタンスは他者の排除からではなく、
「なぜ生きることはこうも上手くゆかないのか」
という深い絶望とそこからの再生をあがき
求めるからだと思う。
本当に「他人との関わりなどどうでもいい」、

と考えているのなら、人間関係や人間について
考えなどしないだろう。

不信と信頼。愛情と憎悪。
情熱と冷酷。絶望と希望。
一見相反する概念や感情のように見えるが、
すべて諸刃の刃。
その中間のあやうい位置を吉行淳之介は
静かに歩き続けた。