オスカーの魅力の玉手箱
★★★★☆
オスカー・ワイルドの代表的な戯曲集です。
表題の作品のほかに、彼の書いた戯曲の最高傑作とされる「まじめが肝心」も掲載されていて
彼の人生を知る上でもとても興味深い1冊です。
戯曲のウィットに富んだ巧みな話術、ワイルド文学の魅力に引き込まれます。
戯曲がお好きな方か、ワイルドがお嫌いな方に
★★★★★
ワイルドの戯曲3篇です。「サロメ」「ウィンダミア卿夫人の扇」「まじめが肝心」
「サロメ」は余りにも有名ですが、私はオペラや演劇で先に出会ったので、
この本の訳…というか日本語になんだか違和感がありました。
王が「〜じゃ」と喋るのはともかく、兵士も「〜じゃ」って話すとか。
男性の小姓が「まるで〜みたい!」と話すところとか。
階級や性別で、日本語では当然変わる筈の言葉使いが、みんな同じなんですよね。
流れるようには読めませんでした。勿体無いなぁ。
「ウィンダミア卿夫人の扇」は、「ステラ」という映画を思い出しました。
いい話です。上演された当時も、観客にカタルシスを与えたことでしょう。
「まじめが肝心」は、要所に皮肉が込められたワイルドらしい喜劇です。
ドタバタ劇とも言える。人間的な底の浅さを含めてキャラクターがそれぞれ魅力的です。
3篇を通じて感じたのは、やはりイギリス文壇にとってシェイクスピアは神様なんだなぁ、という事。
悲劇にも喜劇にも色濃い影響を感じるし、喜劇の結末の大団円なんかは特に、
「夏の夜の夢」あたりを思い出しました。
ワイルドの修飾過多な文章が苦手、という方にはオススメです。彼の見方が変わると思います。
ワイルドの傑作喜劇
★★★★★
ワイルドの真骨頂を日本語で味わうにはこの文庫が一番いい。『サロメ』はともかく『ウィンダミア卿夫人』とか『真面目が肝心』などの傑作風習喜劇が併載されている。特に後者はワイルドの最高傑作だとよく言われる。ヴィクトリア朝人のみならず現代人が当然と考えている慣習をことごとく覆し、爆笑と衝撃を同時にもたらす機知に富んだ会話が一番の魅力。翻訳では限界があるのでこれを読んだら原文で。
怪奇的小説
★★★☆☆
世紀末文学「サロメ」である。結構衝撃を受けた。たしかに、怪奇、幻想、恐怖の文句は伊達ではない。「岩波」の方も読んだが、そっちのはビアズレーの挿絵が素晴らしかった。こっちの方をお奨めする。特にラストシーンの挿絵は寒気を起こす。また、この本には「まじめが肝心」という話も入っている。これは、「婦人の扇」よりもさらにウィットが聞いていて良い。ワイルド◎。・なんて素晴らしく青い目をしてらっしゃるんでしょう、アーネスト!本当に真っ青だわ。いつもちょうどそんな風に私を見て頂戴ね。とくに他の人がいるときは。・「日記を書き留めておかないと忘れるの」 「どこへでもねえ、セシリー、もって歩ける記憶という日記がありますよ。 「ええ、でもそれは、通例決しておこったこともない事柄や、まずおこりっこないような事柄を記憶するものよ」