アコースティックギター3本による儚くも穏やかな表情の音楽
★★★★☆
このCD、普通だと買うのに躊躇しますよね? 武満徹は小難しい現代音楽だし、映画音楽?そんなの書いてたなんて知らなかったし、しかも演奏してるのはクラシック畑とジャズ畑の混合、黒人ギタリストまで入ってるとは…いったいどんな音がするの?
でも、実際難しいものはひとつもありません。気になった人は、ひるまず聴いてみてはいかがでしょう。基本はアコースティックギター3本(うち1本はアコースティックベースギター)による、ゆったり物静かなアンサンブルです。決して暗い音楽ではありませんが、透き通った悲しみのような抒情が音楽を満たしているように感じます。黒人ギタリスト(ブランドン・ロス)がところどころで歌っていますが、ソウルフルというよりむしろ繊細で押し付けがましくない声質が、演奏とよくなじんでいます。
一日の終わりに、疲れた孤独な魂を静かに癒し、眠りに誘ってくれる音楽です。
武満が最先端のジャズに!
★★★★☆
このアルバムは武満の映画音楽を最先端のジャズにアレンジしたアルバムです。普通の映画音楽集だと思って買うと面食らいます。ではダメかというと、その反対です。ギター二本とベース一本で、静かな中にも繊細で美しい音楽を奏でています。そして斬新なスタイル。最先端の武満音楽といった感じです。星四つにしたのは、客観的にみると誰もが納得する武満音楽かな?と、疑問も湧くからです。個人的には一番好きな武満のアルバムですが。
秋の夜長に
★★★★☆
二人のギタリストと一人のベース奏者によって奏でられる『武満徹映画音楽集』。
声の大きさや勇ましい物言いばかりが目立つ現代において、ここに聞かれる秘めやかな囁きにも似た音楽の美しさは極めて希なものだ。言葉を換えれば、ここには強圧的な感動の安売りから最も遠い音楽がある。あるいは、思わせぶりで、それでいて聴き手への媚び、へつらいが透けて見えるニューエイジ・ミュージック的なそれとも明らかに異なった表現がある。
映画音楽作品を取り上げてはいても、一般的に馴染みのあるメロディーが聞かれるわけではない。おそらくは、聴き手の記憶に眠るメロディーに安易に寄りかかることを潔しとしなかったのだろう。三台の弦楽器による、さざ波を思わせる音の響きから立ち上るメロディー。その無垢の美しさを味わうには、夜更けに独りで、もしくは寡黙を条件に親しき人と二人で耳を傾けるのが最も相応しく思う。
以下は私の個人的感懐だが、この希有な作品に一つ足りない点が有るとすれば、人懐っこさかも知れない。例えば、ノルウェーのギタリスト、ビョルン・クラークエッグあたりが加われば、武満作品の異なった一面がまた楽しめるのではなかろうか。是非とも続編を期待したい。
PS)ブランドン・ロスのヴォーカルはいささか素人っぽさを感じさせるものの、いつも通り魅惑的な声を聞かせてくれる。
耳を傾けずにはいられない!空間音響ジャズ。
★★★★★
武満氏の映画音楽を、こんな風に魅せてくれるとは・・・・・。
聴いていて、ドキドキした。
新たな可能性を探り当て、密に紡ぎなおしたような,3人の様子が伺えて、耳にして嬉しくなってくる♪
大介氏は、とブランドン氏の音楽センスが深く交じり合い、ツトム氏のベースを迎えることで、何かを大きく飛び越えてしまった様だ♪
ギター(またはベース)から、放たれる音全てが音色。
生き生きとした音色に身を委ねる心地よさ♪
節や拍子が刻まれると言うわけでもなく、自然に 自然に、余韻もが波をうって空間に漂い、体の中に、脳の中に、心の中に 浸透してゆく♪
スローとは異なる,音色の移り。
空間に織り成す,スマートな(でも、実はスッゴク凝ってる)音響ジャズ♪
そして、繊細,細やかな神経,先を見定める中にある 密な静寂を感じる,切なさ溢れる,ブランドン氏の歌声♪
謳い終わりに、はぁ〜(・・)ほぉ〜(u。u)の溜め息でた。
ギターの新しい紡ぎの世界を見せてもらえたように感じます。
大介氏の新しい1ページが、しっかりと開かれたのかも♪
そんな予感がする1枚です♪