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神々の闘争 折口信夫論

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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折口・ニュー・ワールド ★★★★★
「中沢新一氏絶賛!」の帯についひかれて読み始めたが、たしかに「日本近代思想史を再構成しようとする」斬新な折口論で非常に楽しかった。折口が台湾の「蕃族」の調査報告書から自己の世界観をつくりあげていったプロセスを追い、しばしば彼の学問のキーワードだとされる「マレビト」はもっと大きな思想枠組の表層でしかないことを指摘。折口が霊的な言語論を構築していくにあたってマッハの「感覚一元論」が著しい影響を与えたことを論証。本書の最も啓発的な部分はここら辺だろう。その後につづく超国家論者との関係や当時輸入されてきたフランス民族学との関係、平田篤胤とのつながりの考察などは「再検討」といった程度なので、興奮度はあまり高くなかった。ああ、あと、井筒俊彦を折口の唯一の精神的な後継者として扱うところは、日本のイスラム研究を考える上でとても参考になった。
ということで、9・11をにらみながら折口の知られざる思考をうたいあげる文章は確かに「現代思想」っぽいのだけど、しかし著者はむしろ堅実な「学問」の人に近いのではないかという印象をもった。今後の展開を待ちたいところではあるが。