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ありふれた愛の言葉 (ディアプラス文庫)

価格: ¥588
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新書館
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主人公のアンニュイさが絶妙 ★★★★☆
後半の展開、まあ話の種明かしになる部分の評価は、読んでご自分で判断頂くとして・・・・。

誠という主人公自体の人間性が凄くうまくできていた作品。
家庭環境からはじまり、爆発的に、でもちょっとの間だけ売れまくった小説家時代。それにより被った被害と性格上の傷。
全てを内包して死んだ祖父から受け継いだ飲食店をやる気もなしにやっている生活。
そこに突然容姿の整った若い男陸生と小学生の新が通い始めることから話は始まります。

世の中の全てがどうでもいいことで、惰性で生きている誠に、この二人があらゆる意味で誠に死んでいた感情ややる気を取り戻してくれる。
別にそのやる気を取り戻してくれることが素晴らしいとか、誠がそれを喜んでいるという話ではありません。
自然と流れの中で誠がかわっていくことになるだけなのですが、陸生のことを好きなのだと目覚めたり、その陸生のあらゆる感情を受けとめてやったり、陸生と新と接することで、誠の人間性が変わっていく。
読んでよかったなと思える一冊でした。

エロとかそういうのもあります。陸生の前で自慰を強要されて、それでも喜んでしまう誠の姿はエロい。
でもこの本の焦点はそこじゃない。
「アンニュイ」って、ああまさに誠のことだなぁと、誠という人間に微妙におフランス雰囲気が被ったのはわたしだけ・・・?