My Funny Valentine
価格: ¥1,106
Pacific Jazzレーベルに今作を吹き込んだ1952年から54年にかけては、チェット・ベイカーの人気は頂点に達しており、彼はクール・ジャズの象徴だった。バップ・スタイルにとどまることも可能だったものの、今作ではバラードに正面からリリカルなアプローチで取り組んでおり、ボーカルまたはトランペットに最小限のリズム・セクションと必要に応じてストリングスという編成。彼のボーカルは聴けばすぐにわかる位独特で、高音で感情を排除したような弱々しい声ながら、天性の魅力を備えている。繊細と受け止めるにせよ冷淡と感じるにせよ、スタイルやジャンル分けなどを超越しているのだ。ボーカル曲はインスト曲の2倍収録。細い声でインパクトには欠けるが、ニュアンスと示唆に富んだ素晴らしい出来。生涯の相棒ピアノのラス・フリーマンは器用なコードワークと斬新なハーモニーで、ベイカーのアイデアをサポートしている。美しいインスト「Moon Love」の感情表現は見事だが、ベイカーの代表曲「My Funny Valentine」「Let's Get Lost」「Like Someone in Love」も引けを取らない出来だ。(Stuart Broomer, Amazon.com)