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人間は脳で食べている (ちくま新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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先端科学でも解明出来ていないからこそ「おいしさ」は面白い ★★★☆☆
おいしさを四分類し、中でも、現代人にとっては“情報によるおいしさ”が重要な位置を占めている、という総論は期待感を持たせる。ところが要となるべき「第3章 おいしさの生理メカニズム」は、冒頭から「おいしさに関わる脳の情報処理のメカニズムは、未だよくわからないことが多い」と気弱で、「以下の内容は○○及び、△△を参考にしている」と他著者をベースにした解説であることが明らかになる。結局、「人間は脳で食べている」ってタイトル以上のことは言っていなくて、そのメカニズムの解明を期待した読者は肩透かしを食うことになる。もちろん先端科学でも解明出来ていないからこそ「おいしさ」は深遠で面白いのだと思う。
「情報がおいしさを規定している」っていう、薄々感じていたことを、食品・栄養学の権威の言葉として聞けただけでも、本書を読んだ意味はある。現代人が味覚、臭覚よりも品質表示を信じてしまうって事実を考えると、やっぱ「人間は本能の壊れた動物」なんだなぁと思わざるを得ない。食通に関する論考も的を射ている。食通の評価ももちろん情報なのだが、食通が「おいしい」と言ったものをそう感じないとしても、それが一概に味覚が劣っているとは言えない。「おいしさ」とは絶対的なものではなく、「個」に帰するものなのだ。一般的に不味いと言われるものだって本人さえ「おいしい」と感じれば、それは「おいしい」。一方で、おいしいか不味いかすら、自ら判断がつかないほど、味覚、臭覚が鈍ってきているから食通の判断に頼ってしまう状況なのかもしれない。動物は生存のために、その食料の要不要、安全か危険かを本能で判断するけれど、人間の“食”って、まったく趣味的、文化的な域に足を突っ込んでいて、逆に本能的な部分はどんどん弱まってきている。人間って良くも悪しくも歪んだ存在で面白いものではあるよなぁ。
おいしさへの驚き ★★★★☆
「おいしさ」学の好著。専門的な知識がたくさん出てくるが、会話調でリズムのいい文章とわかりやすい比喩が駆使されることで、理解がスームズに進むようになっている。
いくら交通事故にあう可能性ほど恐れるに足らなかろうと、「BSE」という情報がまつわりついたアメリカン・ビーフは怖いし、ふだんからスーパーにおいてある食品でも、「みのもんた」がその健康効果を喧伝すれば、これは今までに無い光を放ちはじめて、買って食べずにはいられなくなる。
単純に、生存に役立つ脂肪や糖分がたっぷりのケーキやラーメンは本能的に「おいしい」のだけれど、しかしより重要なのはその道の「通」による「おすすめ」である。ベロのあたりから脳に送られてくる信号はむろん最も大切なのだけれど、しかし極端にいえば「グルメ雑誌」の上に書かれている文字のつらなりやきらびやかな写真や、「グルメ番組」が提供するイメージやひこまろのリアクションにこそ、私たちの「おいしさ」のよりどころはあるのではないか?著者は、やわからな文章と硬質の科学的知見をバランスよく配合しながら、読者の脳にそういう情報を送りこんでくる。
最後に、こうして脳と情報の部分が肥大したがゆえに、動物的な本能や素直な生き方ができなくなった人類のゆくすえが懐疑される。文明批評である。五感をにぶらせて脳内の快感だけを追い求め、不自然なダイエットやサプリメントな生活にとりまかれた私たちの、ダークな未来が一瞬、予感されてこわくなったりもする。「おいしさ」は奥が深い。
一般向け読みもの ★★★★☆
本書は、食を「情報」という側面でとらえ、「おいしさ」の分析を試みたものである。人間は大脳が発達した生き物であり、食物をおいしいと感じるか否かに、単なる味覚(香り、見た目、食感などを含む)だけでなく、むしろ情報(流行、安全性、栄養・カロリー表示、賞味期限など)が大きく関与している。本書はこのような視点で、おいしさの要因や生理メカニズム、文化的意味などを分析している。
平易な記述で、一般の者には読みやすいが、少しでもこの領域を専門とする者には、かなりもの足りないと思われる。
そう言えば情報に左右されて「おいしく」感じているかも ★★★★☆
有名な店、高い店、人が並ぶ店、さらには気のあう人と食べる料理、緊張の後の食事など、確かに情報や環境で味が変わる。それらの要因を4つにまとめて解説している。
が、それよりも「和食」の伝統がなくなるかもしれないという以下の論法に驚いた次第。

マウスの離乳期に鰹ダシ風味のものを与えると、大人になってからも鰹ダシ風味のものを好むという。親から与えられた安心できる食べ物として記憶に刷り込まれるのだ。
ヒトの場合、缶詰めやパックの離乳食があり、いろいろな風味で味付けされている。それらには和食の割合は少ない。
1971年、日本マクドナルドが最初に狙ったターゲットは女子学生。それから何年かして、彼女たちは自分の子供を連れて、マクドナルドに行く。
次の世代の子供たちは何を食べているのだろうか?