名曲・名演奏・名録音
★★★★★
「古き佳きドイツのオケ」を、「ドイツ系の指揮者」が振った「ブラームスの」ハンガリー舞曲全集…というカテゴリーに分類される最上級の演奏。さり気なく演奏しているようでいて、じつは他者がやっていないことをやっている。たとえば細部には独自のアレンジが込められていることもあったりして、けっこう凝っている。ただし、「ドイツ的」路線を逸脱するようなことはしていない。
今日、生演奏ではこのような重量感がありかつシンフォニックな響きの演奏を聴くことはほとんど不可能だろう。この上何を望むことがあろうか。デンオンのワンポイント録音の技術も素晴らしい。同じ組み合わせのベートーヴェン交響曲全集と同様の自然で豊かなホールトーンが好ましい。
ブラームスの「ハンガリー」舞曲全集…というカテゴリーを望むならば、イワン・フィッシャーの盤がよい。いずれにしても、この2枚さえあれば他はほぼいらないだろう。