たすけて、どんぶり君!
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どんぶり君がこんなにも雄弁だったとは!!
悩める人、迷う人、助けを求める人、絶望する人、
挫ける人、孤独にふるえる人、勇気が出ない人……
そんな人達を、ユニークで心にも財布にも優しい一杯の丼飯が救う。
そう、先ずはガッツリ食べないことには元気もでないし
なにも始まらないんだよな、と気付かされ
思わずキッチンの丼を探しました。
そう言えば、長らく会ってなかったとんぶり君。
どんぶり君の言葉は優しく、ちょっとぶっきら棒で
そして強烈な叱咤激励でした。
そんな男らしいどんぶり君の一人語りにじんわり来ることも。
背中を押されることも。
「わさび丼」「雑魚丼」「菜っ葉丼」…
「太陽丼」「イカスミ丼」「ピーマン丸焼き丼」「のり丼」……
なんだこれは!? というような丼レシピと、その謎に迫る
どんぶり君のどんぶり語り。
それだけでも元気が出そうな一冊でした。
どんぶり君、ありがとう!
ごちそうさまでした。
包容力とあたたかさのある本
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食べものはひとを元気にする。
けれど、そういう本てうっかりすると、
励ますために作ってあげるとか、家族ってありがたい、みたいな内容で
いっそう落ち込んでしまうことも・・・。
この本のすごいところは、辛いとき、苦しいときに、
自分で自分のためのどんぶりを作り、
それをかきこんで、また立ち上がろうとするところ。
自分をいたわり励ましながら、丁寧に、でも簡単に(これポイント)料理し、
ときには涙まじりにそれを食べながら、
明日のために顔を上げるであろう姿を想像すると胸が熱くなります。
悩みがあるひと、元気の出ないひと、
簡単で美味しい丼ものを食べたいひと、
この本を、ぜひ。
笑顔がくれる贈り物
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今までに食べた事のない、著者独特のどれもこれも味わってみたくなるレシピに思わず笑顔がほころんできました。
なかでも、可愛いタコちゃんウインナー丼には、懐かしさと同時に
歌いたくなってしまう不思議さを感じてしまいました。
口の作り方になるほどと頷いてしまいました。
私にとっては、自己嫌悪に陥っている君へと、
世界は最初から与えられている「所有」についてを読んで光が射し込んできました。
もう、僻むことないんです。
この本は本当に大勢の皆さまにお勧めします。
誰にもお薦めしたい現代人の必読書
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なぜか主人公は‘どんぶり君’という、一種の丼物であり、気づけば読者は自宅で錚々たるどんぶり調理に挑むという設定となっており――一読、あっけにとられる方もいるかもしれない。しかし、あとを読めば、なるほどと合点がゆく。
苛酷な現代競争社会で傷ついた老若男女のために、作者発案の‘どんぶりレシピ’が、手作りのあたたかさと、ささやかな人生創造の一端としてのどんぶり創作の喜びを届けてくれる。たとえ未来の自分図が描けなくとも、どんぶりを料理し食べることのできる自分をたしかめることはできる。すべて作者オリジナルの斬新なメニュー。そして、なんというあたたかな本であろう…!!
苦労を気取らない‘どんぶり君’が、じつは大変な苦労人であることは明らかだが、けっしてそれを面にみせず、彼は苦労しただけに血の通っている宝石のような言葉を炊き出し続ける。そして、私たちの孤独なこころに勇気というエネルギーをくれる。どんぶり君は大真面目であると同時に滑稽でもあり、自ら食されてしまうところもおかしいのだが、何より際立っているものは、ぎっしりと中身の詰まった‘銀飯のような’言葉のうつくしさであろうか。しかもそれは、嘘やまやかしの一切ない人生調理に関するレシピの言葉という気さくさで、このさり気なさが心にくい。各章を読み終えるたびに、私たちは泣きたいような笑い出したいような、しかし確実に明日への手触りを得ている自分を発見する。もったいなくて、全部を読み終えることが、本当に惜しい。
このような体裁の本は、これまで前例がなく、上記はなんとも説明になっていないのだが、本書を繰り返し熟読玩味するうちに、悩める現代人誰もが、いつか“自分だけの自分丼”を調理することができるような確信を得られる本で、これは本当に誰にもお薦めしたい名著であると思う。思いあまって、人生の休職中の何人かの人に贈った。