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宮澤賢治あるサラリーマンの生と死 (集英社新書 461F)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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真摯に生きたサラリーマン賢治をたどる ★★★★★
 一人の人間を視点を変えて見ると、また違った人間像として認識を新たにする場合がある。本書も「永遠の未完成を貫いた、サラリーマンとしての賢治」に光を当てて、石に執着する「石っこ賢さん」、精魂傾けた「東北砕石工場」、生真面目な「技師兼セールスマンとして」現場で奮闘する苦労人賢治を描出して、本書は新生面を開いている。
 現代の言葉で言えば、「猛烈サラリーマン」に近いかもしれない。身体の調子があまり良くないにもかかわらず、仕事に手を抜くことができない。もっとも、これは賢治の性格のなせる業に違いない。こう思ったら、なりふり構わず突進するのが賢治だ。(135ページ)
 「雨ニモマケズ」が書かれたのは、東北砕石工場技師として東京に出張して倒れ、帰宅してすぐのことだ。病床にあった賢治の頭のなかでは、セールスマンとして奔走した日々のことが駆け巡っていたに違いない。(167ページ)
 先行き不透明な現代、サラリーマンとして暮らす人は決して安泰ではない。今ここで、真摯に生きたサラリーマン賢治の生の軌跡をたどってみるのは意義あることと思う。
 
賢治の新一面が見えた気がします ★★★★★
私も出身が花巻市ですので、宮沢賢治には興味があり
本のタイトルの「サラリーマン」の部分でつい購入してしまいました。

賢治がセールスマンとして仕事に打ち込む姿は
今の自分と照らし合わせることができ、
参考になる部分も多々ありました。
賢次の気持ちが分かるだけに ★★★☆☆
 宮沢賢治で思い出すのは、ミュージシャンになりたいと思う若者が、歳を取るうちに就職すらできなくなる状況である。ミュージシャンは野球選手、弁護士、大学教授、公務員などに置き換えててもいいのだが、得意なこと、好きなことに情熱を傾け、職業にしたいが挫折する人達である。
 かく言うわが身もそのようなものだったし、大半の若者はそのような好きなことで生計を立てたいと思う情熱があり、挫折するものである。その挫折の仕方が飛躍となるか、凋落となるかはその人のそれまでの人徳如何なのだと思う。
 では、宮沢賢治という人はどうか。安定した高校教師の職業を捨て、専門知識を生かした仕事がしたいと農地調査を行ったり、作家願望を持ったりして、最後にはサラリーマンとなり病に倒れ無名のうちに死んでゆく。
 それが数々の作品の背景にあるもので、私にはこの暗さ、悲壮感こそが人を引き寄せる彼独特の優れた共感を生む芸術性ではないかと思う。
 この本は何度も同じことが繰り返し書かれるので、読みにくい点はある。しかし、人生録としてはこのような人生は不幸だと思え、それをできるなら避けたいと思う点と同時に、賢次の気持ちが分かるだけに揺れる自己を省みさせる、その参考文献として☆3とする。