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こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉 (岩波少年文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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人間はワインそのものだ。 ★★★★★
確か作家の久美沙織さんも本作を絶賛してましたよ。筆者は前作のレビューでも書きましたが、高校時代、図書室でこのシリーズを見つけ、読んだらたちまち虜になり、未だに返却していません。(母校の皆さん、ゴメン!)
人間が成長するには何事も経験するのが一番だが、日々の生活に追われそれもままならない。旅行もまた心を育むが、もっと手軽な方法が読書だ。想像力があればどんな所にもひとっ飛びで、擬似的ながらいろんな経験を積むことができる。いい本にめぐり会うのは幸福なこと。本作はきっと我々の心に永遠に息づくであろう名作である。
創造された世界の描写がすばらしい ★★★★★
多島海アースシーを舞台にしたファンタジ小説、「ゲド戦記」の第二巻。
魔法使いゲドの、若さ故の驕りから黄泉の世界から呼び出してしまった「影」との壮絶な戦いを描いた前作から一転、古代から伝わる神殿とその地下迷宮を舞台にした静謐で冷たい闇の世界の物語となる。
人が住む場所から隔絶した砂漠の中に存する神殿。神殿の巫女となるべく、幼女の頃に親元から離され育った少女テナー。神殿とそれに仕える人々や儀式、神殿の地下に広がる広大な迷宮・・・。厳格な戒律に守られた静謐な世界、地下迷宮の闇、ひんやりとした石の感触まで伝わりそうな緻密でリアリスティックな描写は見事。
そして、物語が中腹を越えたあたりに、地下迷宮への侵入者としてゲドがようやく登場する・・・。
出版形態はジュヴナイルの装丁を施されているが、大人の鑑賞に十二分に耐ええる作品。もちろん児童文学として特A級に秀逸なのは言うまでもない。
できれば「影との戦い」に続き、文庫版も出してもらえるといいのだが・・・。
女性の冒険物語 ★★★★★
1巻を読了した人は、まず例外なく2巻を一気に読破するはずです。

1巻はゲドという少年が挫折しながらそれを克服して成長する物語とすれば、2巻はアルハ(テナー)という少女が自立し、自分を確立する物語です。

ル=グィンは女性作家で、心理描写においてはおよそSF作家離れした深みを持っています。1巻に比べると2巻の舞台はスタティックで、アルハの内面描写(心理的葛藤)に多くの時間が割かれますが、これは、実は多くの少女が成長において共通して体験する、「自立への葛藤」を語ったものであると思われます。

アルハの場合、ゲドとの出会いという事件において、「闇」に支配された幼女時代から思春期を通り過ぎて一個の女性までの「羽化」が一気に進行し、巻頭では「客体」であった女の子が一気に「主体」となり、ゲドも含めた2人の命をかけて、自我の確立と自立のための戦いが爆発し、一気呵成に進行していきます。

しかし、テナーの自立への葛藤は、2巻のラスト手前で、もう1ひねり、複雑な展開をします。これはもうそれだから女の子なんだなあ(男は単純だ(^^;))ということで、必見です。

女の子が読めば、物語の暗喩の数々が、親や周囲の束縛から巣立っていく時の自らの不安や葛藤に重なり、思わず同化してしまうだろうと思います。

『影との戦い』とはかなりテイストが違います  ★★★★★
一作目では若々しく力に溢れていたゲドが、本作ではやや弱った状態で登場します。見えざる強敵との力比べに疲弊するゲドと、巫女たるアルハの思いが交錯しながら物語りは進みます。二人が手を取って洞窟から抜け出す場面とゲドの魔法の光が暗闇を照らすシーンは大興奮!一気に読まずにはいられません。終わり近くにアルハ(テナー)が刃物を取るシーンにはヒヤッとさせられましたが、物語はHAPPY ENDを迎えます。大人になって読み返してもかなりの読み応えがある本です。魅力的ですね。
見えない敵。 ★★★★★
 ファンタジーとは世の中に病気のように広がっているハウツー的な文章とは違い、それぞれが違った印象を受け、意味のある教訓を受け取れるものだと私は思っています。だから私にとってここに掲載されているレビューも読んでいて参考になるものばかりです。

 一作目でゲドの敵は「影」、そして本作では名がない者、姿が見えない者という事になります。この著作に対する私の意見を述べさせてもらえば、今回のこの敵は主人公のアルハが継承した「伝統」を象徴しているのだと思います(もちろんその中にも現代に対する風刺が含まれているとは思いますが)。伝統を受け継ぐとは前の人の良い事、悪い事すべてを継承する事と同義であり、知らぬ間に背負い込んでいるものと考えたからです。世の中の伝統や、風潮に逆らうことは、アルハがテナーへと変わる時に味わったような苦しみを体験することのように思えます。そのような時、私たちの心の中にゲドのような存在がいてくれる事はとても励みになるのではないでしょうか。

 「水をくれたのは人の手の力」「彼らはこの場所そのもの」・・・これらの台詞には色々考えさせられる事があります。前半部分ではいつゲドが登場するのか待ちくたびれましたが、後半部分で、時間をかけたその意味がわかるような気がしました。伝統や風潮は時として、人から、人としてあるべき考えや感情を奪ってしまうことがあるように思え、それらが不動なものであるならば、自分から動き出せとこの物語は言っているのではないでしょうか。簡単な事ではないですが、単純な事です。良い事は受け入れ、悪い事は変えてゆけばよいのです。
 
 やはり、ル・グィン只者ではありません・・・