再発第2弾!
★★★★☆
1989年7月5日発売の3rd(ミニ)アルバムも再発されることになった。当時私はまだパンクもハードコアもインディーズも何も知らない一般庶民だったが、「筋肉少女帯」という名前の変なグループが「猫のテブクロ」という変な名前のアルバムを出すのか、ということだけは、駅にでかでかと出たアルバムの広告で知っていた。「筋肉少女帯」という名前がお茶の間にも浸透し始めた、世はまさにバブルの時代、バンドブームの時代であった。
前作『SISTER STRAWBERRY』までの筋少サウンドの要であった三柴が脱退し、代わりに橘高&本城が加入しツインギター体制になった後の、初めてのアルバムである。本作から作風が次第に変わって行き、オーケンのVo.のそれまでのとんでもなさも次第に影を潜めて行くことになる。バンド自身も各メンバーの風貌から「ビジュアル系」と称されることが多くなった。余談だが、まんが道「ボヨヨンロック」(1989年4月19日発売)は、実は本作のラインナップでの演奏によるものである。
収録曲は下記の8曲。本作を境に筋少から離れた人、或いは新しくファンになった人、様々であろう:
1.星と黒ネコ(Inst.)
2.これでいいのだ
3.日本印度化計画
4.星の夜のボート
5.PICNIC AT FIRE MOUNTAIN〜DREAM ON JAMES,YOU'RE WINNING〜
6.GO! GO! GO! HIKING BUS〜CASINO ROYALE〜
7.最期の遠足
8.月とテブクロ
2.及び3.はバンドの出世作で、後にベスト盤にも度々収録され、今でもライブの定番曲である。4.及び8.は今までにないオーケンの「まとも」なVo.が印象的なスローテンポの楽曲。5.及び6.はほのぼのとしたカバー曲で、その直後に緊張感溢れる7.が続く。この曲は自主時代の楽曲(空手バカボン「二人と五人」のリメイク)の再録音で、自主時代も大変カッコ良いサウンドであったが、本作ではまた違ったカッコ良さがあって、個人的には本作一番の好みである。アルバム全体としては「必聴作!」とまでは正直言えないと思う。実際このアルバムはそれ程耳にしていない。
ちなみにオーケンは『猫テ』か『SISTER STRAWBERRY』がベストな作品ではないかとFOOL'S MATE増刊号HYP No.2「筋肉少女帯特集」(1990年)で語っていた。