娘さんの文章は感涙ものの成長の記録でした
★★★★★
ここの書評欄であまりよい評価でなかったので、ずっとこの本を手に取らずにいました。
陰山先生の娘さんがNHKのテストの花道という番組に出て合格体験記を語っていたのですが、とても感じがよかったので読んでみたくなりました。
娘さんの文章から読み始めました。地方の普通の高校生が東大を受けるということはものすごく勇気が必要なこと、受験を表明してからの先生や友達の理解と励まし、頑張りとくじけそうな気持ち、読んでいて何回か涙がこぼれました。大学受験生だったかつての自分、これから受験期を迎える子供のことを思い、身につまされました。
受験という負荷、それが東大受験ともなればとても重い負荷ですが、受験勉強を通して自分の性格的な弱点を自覚し克服すること、情報収集の術を身に着けること等、諸々のことが若者を成長させます。エスカレーター式に上がる附属校に入った子達はその機会を逸しているとも言えます。
娘さんの文章は、受験を通して成長した若者の記録として秀逸のものだと思いました。
浪人することに決めて、卒業式の日最後のホームルームでの担任への挨拶「自分の実力からほど遠いレベルの大学を受けたいと言っても、一度も無理だからやめろと言わずに応援してくださって、ありがとうございました」に、大人の取るべき態度を教えられました。
対して、陰山先生の文章はたしかに親ばか的と言えるかもしれません。でも、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げていると思っていた陰山先生が、仕事のため転居を余儀なくされ、家族ばらばらに住むことに悩んだ時期があったことなどを知り、光があれば陰の部分があると思いました。
娘さんが一浪したことで、京都で家族五人が久々に一つ屋根の下で暮らせた一年間は、天の配剤だったという気さえします。
よそのお宅の受験体験記を聞かせていただいて有難うという気持ちです。
日本を背負って立つ人材を育てたい
★★★★★
一見華やかな蔭山先生ですが、決して楽な仕事はしていませんね。その中での家族と交流し、子どもたちの進路への父親としての役割を果たしていっている姿に感動しました。
この本に書いてあった、収入の少ない家庭のお子さんを東大では学費免除としているという話には、さすが東大、見識が高いと思いました。将来、日本を背負って立つ優秀な若者をきちんと育てるシステムがあるんですね。
昨今、国立大学も受益者負担の名目に授業料が高くなっています。高い授業料を払ったんだから、そこで得た知識や技能、そして学歴は自分だけのものだと、誤解してしまう若者もいるように思います。
昔の国立大学卒業生は、学費が安い=多くの人の税金で学ばせてもらった、という意識があったと思います。最近、東大から国家公務員として就職する学生が減っているそうで、ある意味とても残念です。公務員になってもオイシイことがないから。
学費免除で学んだ学生が、ケチな考えをすることなく、将来の日本のために働く人材として育ってくれたらなーと思います。
読んでよかったです。
★★★★★
微笑ましい親子の大学合格体験記です。陰山先生も子どもの前ではただの親ばか、中年親父だ、とおっしゃってますが、ちゃんと幼児期から家庭塾をされてたことなど、非常に参考になりました。読んでよかったです。
陰山先生の本の中で一番共感しました。
★★★★☆
この本は、陰山手法信奉者にはウケないかもしれませんが、普段、『またそれか。』とワンパターンの切り口になじめない私の様な者には、却って共感できる点が多かったです。
「親が子供に願うのは幸福になってくれることだ。」心底そう思っておられるのが伝わって来ました。親バカ本、自慢本とは感じませんでした。
私には後半の、お嬢様ご自身が書かれた部分は興味が持てませんでした。
ただ、フツーの女の子でも、頑張れば東大に行けるのだなとは思いました。
これは大きな収穫です。
素直に認めて、ほめてあげることが大事
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陰山先生のお嬢さんが東大生。いいじゃないですか。教育理論が口だけじゃないよ、って堂々といえる。ただ先生が書かれているとおり、がんばったのは娘さん。著名な教育者だから様々なプレッシャもあったことだろう。
東大を目指すも良し、国公立でも私立でも、自分の夢を育み、大人への一歩を踏み出せるなら、それでいいと思う。
陰山先生が書いているとおり、一区切りとして上出来だと思う。
子供が自力で育って行こうとするのを応援するのは、親として当然なのだから。