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本当の学力をつける本―学校でできること家庭でできること (文春文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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   有名大学合格者が続出したことで、その名を全国に知らしめることとなった山あいののどかな公立小学校。その理由は、徹底した「読み、書き、計算の反復練習」にあった。10年間にわたりこの小学校で実践してきた著者が、「百ます計算」など具体的なメソッドをベースに、学校でできること、家庭でできることをアドバイスしている。

   たとえば、第2章の「家庭でできること」では、「テレビを1日2時間以上見る子に高学力の子はいない」「父親が子どもと将来について話し合う」など提案。どれも当たり前ではあるが、著者がかかわった体験をもとにしているので、説得力がある。特に、「新聞投稿に挑戦してみる」「学習した内容を子どもに説明させてみる」などは、なかなか気づかなかった点でまずうなずき、次に実際に取り組んでみたくなる。巻末に紹介されている「家庭でできる教材一覧」も参考になりそうだ。

   この他、「学校の多忙化は解消するか」「地域が学校の取り組みを支える」など、新学習指導要領や社会でできることについても提案している。学習法の提案というより、教師生活の中から見えてきた著者自身の「学力観」を示している印象を受けた。

   著者は、十余年にわたるこの実践の成果を教職員組合の研究会で発表した際、「管理教育」だと批判された経験を持つ。著者の提案する実践は、学力の基礎・基本を身につけさせるていねいな学習か、管理教育か。その答えを出すのは、「有名大学」を卒業した教え子たちではないだろうか。(町場キリコ)

子供への熱い思いを感じた ★★★★★
学校を取り巻く環境は冷え切っている!塾では志望校に合格したいなら学校で手を抜けといい、学校ではノートさえ取れない子供達に手を焼く。家庭でも子供をどう扱ってよいかわからず、塾に頼り切るか学校に押し付けるかだ。そんな中で現場の教師は親以上にとまどい悩んでいる。ぶれる文科省の方針がさらに拍車をかける始末だ。最大の被害者は子供たちなのに。でも、陰山先生はこのような環境をものともせず、どう批判されようと基礎学力(読み、書き、計算)をつけるために体当たりで子供達にぶつかってきた。この熱い思いがなければ子供を育てられないと思う。
思ったよりもまっとうな主張 ★★★★☆
読む前は、100ます計算なんて、学力の底上げには
役に立っても、できる子どもを成長させるには役に
立たないのではないかと疑問を持っていました。
少なくとも、子ども時代の自分だったら、この人の
指導には耐えられそうにないなと思っていました。

ただ、読んでみた後には、かなりまっとうな主張を
しているように思えるようになりました。
子ども時代に脳の使い方の基本を学ぶというのは、
たしかに効果的のように思えます。

もっとも、著者は、実績を強調していますが、それが
どこまで「方法」によるものかは、わかりません。
ホーソン実験のように、子どもたちのモチベーションが
上がったことが、結果にあらわれているだけかもしれません。

教育方法の優劣は、抽象的な理念に適合しているか否かに
よって評価するのではなく、効果があるかないかで評価
すべきという考えには、賛同できます。
理念の戦いはやめ、実験し、効果を検証して、
教育方法の優劣を明らかにすべきだと思います。

音読、百ます計算…小学生のために! ★★★★★
脳科学の分野からも、小学生年代までの教育がいかに重要であると
されているかについては論をまたない。

現在は立命館小学校において、「立命館メソッド」としても
知られている、陰山英男先生の公立小学校教諭時代の本である。

百ます計算(単純計算)、音読等、学校でできること、
夢を語る、テレビ視聴時間の規制、朝食を欠かさずとる等、家庭で
できることをそれぞれ示した教育書である。
これらのことは、現在では川島教授をはじめとする脳科学者からも
理論的裏付け(脳の活性化)が得られていることである。

本書を読んでみれば分かることだが、実践内容は決して難しくない。
誰でも、どの家庭でも始められることが多く掲載されている。
気軽に読んで、共鳴できるところから始めたい。
読み書きそろばん等、昔ながらに大切とされてきたことは
やはり大切に引き継いでいかなければならないと感じる。
素晴らしい事例紹介 ★★★★☆
100マス計算などですっかり有名になった陰山英男氏が取り組んできた小学校における教育活動を紹介した本。児童期の落ちこぼれを減らすとか、学力を中の下から中の上に引き上げるとか、そのあたりのためには確実で即効性のあるノウハウが満載である。結果的には、戦前の教育や田舎の旧家の教育を現代風にアレンジしたものになっており、高度経済成長期や敗戦直後に回帰するような抜けた内容などでは決してない。小学校の先生や子供が勉強できなくて悩んでいるお父さんお母さんにとっては必読。著者の名前を呼ぶときに「先生」と付けずにはいられなくなるだろう。

一方で、本書に書かれている教育方法は下手に実施すると「例外的な子」にとっては「ゆとり教育」以上に迷惑かもしれない(力量のある教師が上手に実施すれば問題ないと思う)。小学校入学の時点で三桁の足し算を暗算できる子や独りで何百冊も絵本を読破してきた子だっているのだ。狂った親を持つ子供だっているのだ。基本的には事例の紹介として賞賛できる稀有な本ではあるものの、良くも悪くも普通じゃない子供は本書における説明や著者が実施した教育の成果の外にあるようである。本書から学ぼうとするならば、この点を見落とさないように注意しましょう。

他にも、突っ込みの甘い文部科学省批判、千堂あきほの思い出、進路の決め方などの非常にヌルイ記述が散見されるが、そこらあたりは読み飛ばせばよいでしょう。
地道な実践からの多様な提言 ★★★★★
 1958年に生まれ、兵庫県朝来町立山口小学校着任直後から、学校ぐるみでゆとり教育の流れに抗して音読・百マス計算などの読み書き計算の反復練習による学力向上を実現させ、広島県尾道市立土堂小学校校長に公募で選ばれた教師が、2002年に刊行した240頁ほどの本。ゆとり教育が生徒から真の基礎を身につける時間を奪い、教師から一層ゆとりを奪ったと考える著者は、理念ではなく成果=子どもの成長とそのための教育条件の整備から検討をしなおそうと考え、学校に要求されることとして、生徒にきめ細かな指導をできるような教材の研究、少人数学級の下での基礎教育のための時間の確保、教育の系統性等を、家庭に望まれることとして、家族ぐるみでの生活態度の改善等を、社会ができることとして、大人自身が真の幸福について考え、地域や学校、政府が立場を超えて子どもたちのために取り組み、現場の多様な実践を重視すること等を提言する。著者の立場上、小学校と家庭への提言が最も具体的であるように思え、それが本書の大きな魅力であるが、注目すべきは著者が教育の問題を決して学校に限定することなく、広く社会全体の問題として把握していること、そして子どもの学力の向上を教育の成果の一つの目安としつつも、最終的には生徒の人格の育成を目標にしていることである。つまり、著者は自己の経験を具体的に言語化し、それにより多様な提言の意義と限界の双方にきちんと目配りし、それを踏まえた地域・家庭・国家との協働のあり方を模索しているのである。また本書からは、上からの強制か下からの学びかという二分法では把握しきれない、現在の教育現場の困難が浮かび上がる。本書からは学ぶことが多いが、著者自身認めるように不登校問題にはうまく取り組めておらず、また社会への提言が物足りない。とはいえ、教育について考えたい人には必見。