まさに入門書!
★★★★☆
池内氏の共作である前著『カフカ事典』を読まれた方には、本書と重複する点があると思う。更に池内氏のカフカに関する近著をまだ筆者は読んでいないので、池内氏のカフカ論の真髄に触れてはいない。したがって、本書によって池内氏のカフカ観が全て表現されているとは言えず、本書だけで判断することはできない。しかし、本書はカフカの入門書として相応しいことは間違い無い。いわゆる入門書と記されても断片的に作者の研究内容が紹介されていて、あやふやな読後感を抱えたままいつのまにか読了していたりすることはない。カフカという作家についてはやはり興味を持つ人が本書を手に取るのであろう。そこが寂しい点である。不条理文学として、カフカの小説作品を認識されている人にこそ読んで頂きたい(新書なので、通勤時間を利用して愉しく読めます)。各章のテーマにオチがあり、各章が十分の短編映画を観賞するような気軽な姿勢で読める。最後に帯の写真は、某日本人作家の作品の題名でもある、と筆者は申し上げておきたい。
カフカの作品を読みなおしたくなる伝記
★★★★★
著者の近著である『カフカの生涯』を抄記した内容で、カフカの人物像に焦点を合わせ、意外な素顔と作品との関係性をも明らかにしています。カフカがいかに優秀で機械好きなサラリーマンであったか、また創作活動と恋愛とそして晩年の病気との狭間で色々と揺れ動いていたかがよく分かるでしょう。裏の顔を知って、またカフカの作品を読みなおしたくなること請け合いです。
親近感
★★★★☆
カフカに親近感を感じた。
内向的で真面目で結婚に対して慎重で・・・。
天才というよりは常識ある社会人だったカフカ。
それでいてその小説世界はやはり革命的だったのだ。
やたらとカフカの小説が読みたくなってくる。
カフカへの入門書です
★★★☆☆
とっつきにくいといわれるカフカへの入門書です。カフカ理解の鍵となるいくつかのテーマ(独身、性、ユダヤ人、療養、サラリーマン、集中的な作品の執筆など)について、それぞれ章を設けて、わかりやすい解説を展開しています。一見わかりやすいけど、ただし明確な回答なり著者の考え方は、巧みにガードされており、この作品からはなかなかはっきりとは、うかがえません。これについては、あとがきにも出ているように、著者の近著の”カフカの生涯”を参照してくださいということでしょう。最後のカフカを通したプラハ案内は、おまけでしょうけど、これに興味がある方は、プラハの書店ではどこでも売っているHarald Salfellnerの”Franz Kafka and Prague"を手に入れてください。(amazon.jpではドイツ語版が入手可能なようです)