買いです。
★★★★☆
新作「悪と戦う」で快哉を叫んだファンも多いかと思しき高橋源一郎さんの二十数年前の著作ですが、いま読み返してみると、当時の「キッチュ」な知識人と言いますか作家と言いますか、そういった方々との交流を描いた前半は正直きついものがありますが、後半のアメリカの作家やサブカルチャーに言及した文章については、おそらくロバート・クーヴァーであったりテス・ギャラガーであったりといった作家の名を初めて目にしたのが、実は大学時代に読んだ本書においてであったことに気付かされたりして、新鮮な驚きでした。ちなみに本書で数度取り上げられているピンチョンについては、高校時代に読んだ中村真一郎の、たしか「本を読む」という題名の本でであったのは、自分でもなにか不思議な気持ちにさせられます(軽い気持ちで近所の本屋に「V」を注文して、届いた本の値段にびっくりしたのも、我ながら笑える思い出です)。