私たちは常に代わって成長しているのか、(何かを学んでいるか)、
お互いをさらに愛し合っているのか、それらが重要なことです。」
「不都合な問題を自らのルールで避けてしまわないことが大事です。
(葛藤に対するComfrontation)」
大切なのは変化であって、今どこにいるかではない。
ベクトルがあることであって過去のベクトルの総和ではない。
そんなことを教えてくれる素敵なラブストーリーです。
最初に捜してから6年を経ての邂逅。しかし、それほどの本なのだろうか?というのが正直な感想である。確かに訳はわかりやすいし(それでも所々に、場違いな感情表現と思われる日本語がある)、著者の言うとおり前半は本当にいやな「プチ・インテリ」ぶりだったのが、次第に穏やかな円熟へと変わっていく様もうまく表現されている(このニュアンスの訳はうまい)。しかし結局は、知性もあり大金持ちだった著者が、如何に素晴らしい女性と出会い、幸福な結婚生活に至ったか、という話なのである。結構なご身分なのである(ルックスも頭も人並みで、金持ちでもない人に、こんな幸運はまず訪れない)。また、書かれている神秘体験は、あくまで個人的体験である。さもそんな世界が実在するかのような書き方には抵抗がある。
つまるところ私には、この世における絶対的幸福も、見たことのない別の世界の存在も、信じられないのだ。信じない者は救われないのだろうけれど、この本は私のメンタリティーと違いすぎる。