著者のエグゼクティブコーチングの経験に基づく内容であるため、納得感が高いです。
★★★★☆
リーダーシップに関する講演等では、必ずと言って良いほど、
「リーダーシップは後天的に習得可能か否か?」という質問が出ます。
著者はこの点を意識されたのかどうか、本書の冒頭、第1行目で
「リーダーシップは全ての人の中に必ずある」と言い切っておられます。
本書では、リーダーシップを「1人では実現できない何かを実現したいと思い、
他者に働きかけ、協力を仰ぎ、その実現を目指す力」と定義しています。
本定義を前提とすると、リーダーシップとは「力」です。力には大小があります。
「リーダーシップ力」は必ず全ての人にあるものの、力の大小には差があるということです。
より大きなことを実現するためには、より大きなリーダーシップ力が必要です。
一般的に「リーダーシップがある人」と言われる人は「力が大きい」人のことを指します。
本書には「リーダーシップ力」を向上するために必要な項目が25個書いてあります。
内容は、著者がエグゼクティブコーチングで経験された内容に基づくため、
理論だけではなく、所々に登場するクライアントの事例が現実的で参考になります。
冒頭のリーダーシップの定義を意識して25個の項目を読むと3つに分類できます。
1. リーダーが導く力(ゴールを設定し、確実に達成する力)
2. リーダーが自分自身に向き合う力
3. リーダーがリーダーシップを発揮する相手に向き合う力
1. リーダーが導く力(ゴールを設定し、確実に達成する力)
ビジネスやプロジェクトを完遂できるかどうかは、リーダーにかかっています。
完遂するためには、どんな局面でも逃げないことや重要な局面で意思決定することが重要です。
ただ、それ以上に重要なことは、リーダーが常にゴール志向で、明確なゴールを設定し、
ゴールに向かってメンバーを導くことができるかどうかです。
しかしながら、ゴールを設定してもゴールの手前では、失速してしまうことが多いと言います。
そこで、ゴール前で失速しないためのコツは、「ゴールの先をイメージする」ことのようです。
本項目に関しては、以前、水泳の北島康介選手のコーチである平井さんのお話しを伺った際にも
同じことを仰っていました。北島選手の場合は、最後の5メートルで失速する傾向があったため、
最後に壁にタッチをして振り返り記録板を見ることをゴールに設定したそうです。人間は、
ゴールの先をゴールとすることで、ゴール前のパフォーマンスが飛躍的に向上するそうです。
これは、ビジネスにおいても活用できる視点として注目されているそうです。
リーダーがメンバーを牽引して、物事をやりとげる(完遂)するためには、明確なゴール設定と、
最後までパフォーマンスを落とさずに走り抜ける力が必要です。
2. リーダーが自分自身に向き合う力
エグゼクティブは、昇進の過程で自己の成功体験を元に「信念体系」が築かれるそうです。
「信念体系」が形成される過程では、自己を客観的に捉え、試行錯誤を繰り返すそうです。
しかし、一旦信念体系が構築されると、客観力が弱くなり、自己の成功体験に基づいて判断する
ようになるため、自分の主張を押し付けるようになるようです。当然、人はついてこなくなります。
こういった方に対して、エグゼクティブコーチングが有効に機能するようです。
要因の1つは、エグゼクティブになればなるほど、フィードバックを受ける機会が減るためだと思います。
つまり、自分に意見を言ってくれる人が減るため、改善する機会が減るのだと思います。
ここでは「相手はコントロールできないが、自分自身はコントロールできる」という視点が重要です。
職場では、「部下が動かない」等、相手に対する不満をよく耳にします。
但し、相手の行動が自分の感情を引き起こしている時点で、その人は相手の影響下にあるということを
自覚する必要があります。つまり、相手が引き起こす刺激に自分が反応してしまっている、自分で自分を
コントロールできていない状態です。
自分をコントロールするためには、外部の刺激に対して自分自身の感情が動くプロセスを自分で観察し、
コントロールする訓練をすることが有効であると著者は仰っています。
3. リーダーがリーダーシップを発揮する相手に向き合う力
成功する社長は、しっかりと「人の話しを聞く」そうです。
これは、如何に話しを聞かない社長が多いかということの裏返しです。
また、話しを聞くという行為に対しては、心で相手を受け入れるという観点が重要です。
つまり、自己との違いを認められるか(=多様性を尊重できるか)が重要です。
但し、ただ話しを聞いて、多様性を尊重するだけでは人は動きません。
リーダーシップが、1人では実現できない何かを実現したいと思い、他者に働きかけ、
協力を仰ぎ、その実現を目指す力である以上、他者に示すビジョンが重要です。
そして、ビジョンは、リーダーの内面から生み出されたモノであることが重要です。
このことを著者は、外部基準ではなく、内部基準でビジョンを打ち出すことが重要と表現されています。
本書にはビジョンを描くための3つのステップも紹介されているので、実践してみる価値はあると思います。
リーダーシップは、「すべての人の中に必ずあるもの」というのがなんと言っても良い
★★★★★
「はじめに」にかかれた次の言葉に、参りました。
リーダーシップは、誰か特別な人にのみ宿るものではなく、
すべての人の中に必ずあるものです。なぜなら、リーダーシップとは、
一人では実現できない何かを実現したいと思い、他者に働きかけ、
協力を仰ぎ、その実現を目指す力のことなのですから。
リーダーとは、という項目が25個あります。
ビジョンを描くとか、決断する、とか、やりとげる、といった定番のものから、
何かをやめることができる、とか、人の話を聞くとか、
部下のリーダーシップを育てる、など、思わず膝を打つような
鋭い項目も記載されています。
非常によくまとまっていて、実現のためのステップも
明確になっていて、すぐに使える一冊だと思います。
巻末にある、必読書50冊も、是非すべて読んでみたいと思いました。
逃げないことが一番
★★★☆☆
25項目の心得と、それを身に付けるためのステップが書かれている。
個人的に ”逃げない”ことが一番重要だと感じている。
その為の言い訳を一掃するマジックワード。
言い換えると マジックワードはその人を形成するポリシー。
ですので 人生をよりよくするための心構えと共通するところがあると感じた。
マニュアルではない、ということを教えてくれるマニュアル
★★★★★
・たぶん、自分はリーダーに向いてないのかもと内心思いながらも
仕事の立場上リーダーをやっている人に最適な本だと思った.
私も3年前、ヒラから急に30人以上の部下を持つようになり、現在も
自分のスタンスが決まっていないので、腑に落ちる話が多かった.
・多くのリーダー論は、私のような新前マネージャーに合わない社長向け
の話だったり、逆に「こうしなければならない」とそれに行動が縛られ
るような公式っぽいマニュアルだったりする.
自分の場合、後者のようなマニュアル本の断片的な言葉は、むしろ毒で
自分自身を向いて、現実的制約に基づいて考えることが促されるような
書物でないと、却って自分がギクシャクしてしまい、「これをやれば正しい」
というような言葉に引きずられてきた.
・本書は、「ビジョンを描くための3つのステップ」といった類書にある
マニュアル的内容も満載だが、
・作業を最初に浮かぶ半分の時間で終わらせる
・自分のエネルギーを高めてからオフィスに入っていく
・決められるようになる3つのステップ
・退路を断って、「すべては自分次第」という感覚を持とう
といった他書にあまり書かれていない実践的な内容が役に立つ.
また、冒頭に述べた、考えずにただこれを実行しなさいというのではなく
自分の中で考え抜いて、説得性のある道筋を貫く、これは譲れないといった
ものをもつことの大切さを実感した.
組織内リーダーの有るべき姿
★★★★☆
一昨年秋、世界同時金融恐慌による不況が世界同時に発生しました。業種を問わず世界の名だたる企業がアッという間に倒産に追い込まれました。
そんな中で、売上、利益、設備投資を積極的に実施している企業も有ります。倒産VS積極経営、違いは夫々一言では言い尽くせぬ理由が有ります。が、その中の一つに元気な企業の共通点が「社員力&店員力」といわれます。要するに元気印の企業は一人ひとりの社員、店員がやる気を持って企業経営に参加しているということです。
人の能力を最大限に引き出し、モチベーションを維持していくのには大きなエネルギーを要しますし、グループが必要となります。グループができると優れたリーダーが必要となります。
リーダー育成は企業組織の生死に関わると申しても過言ではありません。
そこで、リーダー育成に関わるあらゆる知識、技術、歴史を理解してゆきたいのです。