豊富なレシピが収録されているようなところに気を配りながら、コロンビアのシャーマンに会いに行こうとするくらいの著者だから、霊的な側面にも十分に留意されているところがこの本の魅力だ。しかし(いい意味で)何も特別なことが述べられているわけではないとも言える。日本で少しだけ健康に気をつけた生活を心がけている人ならば、かなりの点ですでに実行済みかもしれない。日々の生活の中でゆがめられてしまったさまざまな習慣を、この本にそってチェックしてみるのも!!いいだろう。
ついでにいえば、この本を読みながらぼくは、何人かの親しいニューヨーカーを思い浮かべてしまった。彼らは、自然や健康を、人工的な環境の中で求めるべきものとして浮かび上がらせ、それに向かって日々効率的にこなしているようにぼくには見える。人工的に構築された世界で成功していればいるほど、意識的に人工的に健康を追い求めなければならないのかもしれない。
自然と触れあうような健康的な生活を作り出すためのニューヨーカーの努力は、人工的な力を借りて長いあいだ快適な生活を追い求めてきた人間の努力とどのような関係にあるのだろう。その二つの危ういバランスのうえにしか、健康は維持されないのだろうか。