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アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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心に残る ★★★★☆
全体ではなく、細部が心に残ります。なんだか不思議ですね。全体的な主題とは、まぁ、あまり関係はないのですが、大塚英志の幼少期の思い出話が出てきて、キューバ危機のころの話なんですけど、そこを読んでると、なんともいえない気持ちになってきました。本当に不思議な気持ちなんです。「その時期が本当にそこにあって、そこに生きていた人がいて、その人たちが今も、ここに生きていて、こういう本を書いてるんだ」という気持ちです。過去という時間のことを、なぜか考えさせられたんですね。そういう体験って、本を読んでいて、あまりないのですが、そこを読む限り、あぁ、これは小説だな、それも良質の、と、場違いなことを感じました。すいません、変な感想で。参考にならないでしょうね。でも、まぁその、いい感じの本なんですよ。表紙も良いですね。
戦後思想としての手塚治虫 ★★★★★
本書はある意å'³ã§å°ç†Šè‹±äºŒã€Žã€ˆæ°'主〉と〈愛国〉』(æ-°æ›œç¤¾ã¨åŒã˜ãƒ†ãƒ¼ãƒžã‚'探っている。すなわち、戦後思想の原点ã‚'、語りえぬものとã-ての戦争ä½"é¨"ã‚'語ろうとする試みと捉えている。ã-かã-ながら驚くべきã"とに、その思想的測定深度においてã"の小è'-は小熊の大è'-ã‚'ã-のいでいる。それはå¿...ずã-も、小熊にæ¯"べて戦線ã‚'限定ã-ているからというだã'ではあるまい。

 たとえば小熊は江è-¤æ·³ã‚„吉本隆明のフェイク性について語るとき、戦後æ°'主主義の虚妄ã‚'å'Šç™ºã™ã‚‹å½¼ã‚‰è‡ªèº«ã®è¨€èª¬ãŒã€è‡ªã‚‰ã¯æˆ¦å 'ã‚'見ていないという事実から逃避するための虚妄であったã"とã‚'指æ'˜ã-て、æ-¬ã£ã¦æ¨ã¦ã‚‹ã ã'である。ã-かã-そのようなå'Šç™ºã«å¯¾ã-て、吉本も、そã-てもã-ç"Ÿãã¦ã„れば江è-¤ã‚‚おそらく何らのç-›ç-'ã‚'も感じなかったであろう。ã!ªã‚"となればä»-ならぬ吉本と江è-¤è‡ªèº«ã€è‡ªã‚‰ã®è¨€èª¬ã®è™šå¦„なるã"とã‚'承知の上だったろうからだ。そのうえで彼らならã"うå±...ç›'れる。「われわれは戦å 'には行かなかったが戦時下ã‚'ç"ŸããŸã€ã-かã-おまえは戦争はおろか安保すらみていないではないか」と。

 つまり江è-¤ã‚„吉本は空虚であるがゆえに戦後æ°'主主義の虚妄ã‚'æ'ƒã¤è³‡æ ¼ãŒãªã„のではない。逆にその空虚さã"そが戦後æ°'主主義å'Šç™ºã®å½¼ã‚‰ãªã‚Šã®æ­¦å™¨ãªã®ã ã€‚戦争ä½"é¨"の継承と思想åŒ-が「語りえぬものã‚'語る」ã"とにä»-ならない以上、その困難さã‚'回避ã-て安æ˜"なお題目に堕ã-たり、あるいは逆に戦後言説は、自らの虚妄に深いコンãƒ-レックスã‚'抱くがゆえに自ä»-の虚妄一般に敏感な彼らの格好の餌食なのである。
 「語りえぬものã‚'語る」というã"との困難さへの自覚ã!Œä¸è¶³ã-、それにふさわã-い作法ã‚'磨ã'なかった戦後思想は、結局ä¸-代の壁ã‚'越えられなかった、というのが小熊の結è«-なら、江è-¤ã‚„吉本の、戦後ã‚'自らの低みにまで引きæ'ºã‚Šä¸‹ã‚ã™ã‚„り口が結局勝ったというã"とになりかねない。

 それに対ã-て大塚は、手塚治虫の「アトムのå'½é¡Œã€ã€ã€Œè¨˜å·çš„身ä½"で死すべき身ä½"ã‚'描く」という難題が戦後のマンガ表現のなかに明確に継承されていくã"とã‚'指æ'˜ã-、それã‚'手塚の戦争ä½"é¨"と戦後思想とã-て読みかえようとする。そうするã"とによって、ä¸-代の壁ã‚'越えて手塚の「語りえぬものã‚'語る」という課題が今へと連なっているã"とが明らかにされていく。江è-¤ã‚„吉本の戦後批判に対æŠ-するには、ã"のé"ã"そが本é"ではないだろうか。