速く、激しく、美しく
★★★★★
スウェーデン出身メロディック・デスの重鎮、2002年発表6th。
初期の頃のようなスピードと攻撃性が復活、それでいて「Projector」や「Heaven」で聴かれた激情と哀愁もたっぷり含んだ、Dark tranquillityというバンドがこれまでのキャリアで積み重ねた要素を全て出し切った傑作アルバム。
正直、彼らが再びこのようなアルバムを作るようになるとは思っていなかった。
「Projector」や「Heaven」も彼ららしさが出ていて好きだったが、#1"Final resistance"を聴いた瞬間の、ぞくぞくした歓喜はそう味わえるものではない。
「Projector」を境に明らかに感情表現の幅が広がったミカエルのデス・ヴォイス、ここ数作では聴かれなかったファストでアグレッシヴなリフとドラム。
そして、前面に出ることはあまりないが、冬の夜空のような冷たさと美しさを持つマーティンのキーボード。
疾走感と攻撃性、そして美しさと哀しさの入り混じったメロディ。
全てが高水準。彼らの反撃はここから始まる……。
メランコリックなダートラ節
★★★★☆
スウェーデンのメロデスバンド、ダーク・トランキュリティの6th。2002作
このころ、「projector」、「HAVEN」と個人的には煮え切らないアルバムが続き、
ダートラはもう終わりだと思っていたが、彼らはどっこい生きていたのであった。
本作はその前2作の流れを汲みつつも、演奏にはアグレッシブな硬質感が増し、
メロデス的なツインギターの煽情メロディを乗せて疾走する。
かつてよりはややモダンになったが、まさにダートラ復活ののろしである。
適度にシンセを取り入れたアレンジで、メランコリックな質感をともないながら
重厚かつドラマティックに聴かせる。これが次作「CHARACTER」へと続くのである。
これがダートラ初体験
★★★★★
すいません今までこのバンド知りませんでした。名前だけは知っていたものの先にチルボドやらインフレイムスに夢中になっていたものでなかなか購入に踏み切れなかったのです。で、今回一番評判が良いというこのアルバムを聴いてみたわけですが、まあ今までの自分のアホさ加減にようやく気が付いたわけです(笑)なんでこんなに良いバンドを聴き逃していたのだろうか、と。メロディアスなギター、曲にほんのり彩りを添えるキーボード、そしてミカエル・スタンネの美しいデスヴォイス。む〜こりゃイイわ。「The Treason Wall」最高ですね〜。今度、他のアルバムも買って聴いてみよう♪
孤高のバンド!
★★★★★
"Projector"とそれに伴うツアーで、多くのファンを不安に陥れ、失いもした彼ら。(個人的にはアルバムもライブも楽しみました。)しかし前作の"Haven"では、そのファンをもう一度引き戻すことに、かなりの度合いで成功したのではないでしょうか。
そして満を持しての今作。最初から独自の世界が展開され、まったくスキが見当たりません。畳み掛けるような展開に引き込まれっぱなしで、あえてあげるなら5曲目が好きですが、その他もラストのインストを除けば全て名曲!と言ってしまいたいくらいです。わがままを言えば、デビュー当時は大活躍していたギターワークを復活させてほしいんですけど、ホントは。
余談ですが、8に出てくるモロにIron Maidenの某曲そのままのフレーズは、ファンの方々のあいだでは認知されているのでしょうか?
革命前夜
★★★★☆
日本でDARK TRANQUILLITYが騒がれるようになったのは1994~1995年に遡る。1stアルバム『SKYDANCER』(1993)が輸入盤市場を席巻し、ミニアルバム『OF CHAOS AND ETERNALNIGHT』(1995)は2ndアルバム『THE GALLRY』(1995)への期待を昂らせた。僕もレコード屋に何度も足を運び『THE GALLRY』の輸入盤を早速手に入れ聴いたものだ。冒頭の「Punish my heaven」という曲がいかに衝撃的であったか…初めてスラッシュメタルを聴いた衝撃に近い革命であった。DARK TRANQUILLITYはIN FLAMESと並びメロディック・デスメタルの創世記を切り開いたバンドなのである。本作『DAMAGE DONE』はデビューから10年目、6枚目のアルバムである。IN FLAMESやARCH ENEMYが巨匠の域(?)に入ったのに対し、DARK TRANQUILLITYは地味な存在だ。4thアルバム『PROJECTOR』が日本で酷評の対象になるという不幸があった。同時期、欧州ではゴシック・メタルに象徴されるヘヴィ・メタルの耽美化という流れがあり、『PROJECTOR』はその流れに沿った彼らなりの作品であった。今や、どのバンドにも散見されるクリーン・ウ゛ォイスを部分的に導入したのも必然的手法であったが、日本のファンからは背信的行為とうつったようだ。一方、欧州において『PROJECTOR』は話題作であり彼らの知名度を上げた作品であった。やがて支持はアメリカまで拡大していくが、彼らの支持が世界的に根強く10年以上もメンバーを殆ど変えることなく活動を継続できたのは、彼らがメロディック・デスメタルの開拓者であるからであり、化石的存在だからであろう。『DAMAGE DONE』はメロディックデスメタルという原点に戻り、音楽的ウ゛ァリエーションには乏しいもののスピード、ヘヴィネス、美しいギターワーク、そしてミカエル・スタンネの「美声」をとことん追求した本物のメロデスである。本作がさらに耽美と激しさを深め、初期にみられたプログレッシブ・ロックに通じる曲展開が絡めば、巨匠として世界中から正当な評価を得ることは間違いない。
IN FLAMEASのヴィジュアル監督(?)ニクラス・サンディンのアートワークも素晴らしい。