その視点のもとで、スピノザ、マキャベリ、モンテスキュー等の思想を駆使しながらマルクスの主要書をそれぞれ再解釈していくくだりが、
本書の最大の「売り」でしょう(久々に読書で興奮した!)。
当然、巷に流布しているマルクス解釈とは、かなり違ったものとなっていますが、だからといって近代市民社会を性急に全否定するよう
な非現実的なものではなく、またマルクスで全てを説明しようとしているわけでもない、著者のバランス感覚も良い感じです。
惜しむらくは、スピノザ解釈の説明が抽象的で多少難解であること(現代思想の素養が必要か?)くらいでしょうか。
社会思想、グローバリゼーション、マルクス、等に興味がある人は必読です!!新たな思考の軸を手に入れることが出来ると思います。
(この筆者の考えを具体的に適用するとどうなるのか、と興味を持った人には『マルクスだったらこう考える』をお勧めします)