新しい時代の冒険物語
★★★★★
多くの人がうすうす気づいていることだと思うが、前川かずお画伯が挿絵を担当されなくなってからの三人組には、それまで横溢していた生命力がどこか感じられなくなってしまった。それは単に挿絵のせいばかりではなく(もちろん高橋信也氏の絵が悪いということではない)、作家の筆力が落ちた、というような単純な話でもない。むしろ後期の方が構成の技術に驚かされることが多いのだが、しかし、そのような「技術」だけでは小説は輝かないのだということが、この50巻のシリーズで証明されてしまった。問題は作者の個人的力量を超えたところにあり、言ってしまえば時代の変化が否応なく三人組を変質せしめたのだ。バブル経済が始まる少し前の時代、つまり高度成長期の終わりに三人組は活躍を始めた。その躍動する三人組が終わりを告げたのが、ちょうど25巻目の『ズッコケ三人組の未来報告』であり、そこが彼らにとっての「卒業式」だったのだ。
ではその後の14年間の三人組は、生ける屍のような存在だったのだろうか。決してそうではない、というのがこの本を読んでの感想である。彼らがいまの時代をそれなりに誠実に、一生懸命生きた、ということが『ズッコケ三人組のバック・トゥ・ザ・フューチャー』では描かれている。この「自分探し」のような主題は小学六年生にふさわしいテーマではない、と思われるかもしれない。しかし現代の子どもたちにとっては自らのアイデンティティを確保することは至難の業である。三人組はその難事業に敢然と立ち向かい、それなりの成功をおさめた。今の時代に少年が冒険するとはこういうことなのだ。
もちろんこれはファンタジーであり、この世界に耽溺するのはある種の現実逃避かもしれない。しかし人は真実のないところには決して逃避しないし、また、その旅先での一夜の宿の暖かさは何物にも代えがたい。
真面目に書かれているが
★★★☆☆
小学6年生の三人組が自分史を作ると言う、対象年齢読者の共感を呼びそうも無いメインテーマを軸に、三人組の過去と周辺に絞って話が組み立てられている。人間関係の描写をおろそかにせず、ミステリーと淡い初恋の隠し味が利いていて、後期の作品としてはまっとうな出来。しかし、読んでいてあまり心の躍ることがないのは娯楽児童文学としては問題だろう。
嘘をつく子どもたち
★★★★★
自分の過去を振り返ってみたとき、そこにはいいことばかりがあるとは限りません。忘れていたいこと、固く蓋をしたこと、いろいろあると思います。児童文学だからといって、そこを甘く書くのではなく、今回は少し過去のつらい罪に触れることになります。子ども達は決して純粋ではなくて、自分自身に嘘をつくこともありますが、この本を読むと少し慰められたような気がします。最高の一冊です。
面白い
★★★★★
小学生にお薦め!
ハカセの提案で、自分たちの年表を作ることになった3人。次々と3人の過去が暴かれていく!
ハチベエは自分の過去がどんどん分かってきて複雑な気持ちになったりする。
僕も年表作ってみようかな、と思った。