やっと辿り着いた本だった。
★★★★★
「愛着障害」について知りたいと思い、あれこれ探した末やっと辿り着いた本。
この本はどちらかといえば、系統的に詳しく学ぼうとする専門職向けの本だ。
ヘネシー・澄子氏の「子を愛せない母 母を拒否する子」(学習研究社)も、この本が底本になっているような印象を受ける。
この本の主要部分である「修復的愛着療法」は、里親、児童養護施設、児相等でしか使えない(多くの子どもたちは、その原因となる親たちと生活している。そして今も愛着障碍の傷口に塩を塗り込まれている。たとえ最悪であっても実の親なのだ。)。
しかし、その他の部分、愛着の起源、子育てにおける愛着形成の過程、愛着障害のある子どもたちの特質と原因などは資料としての価値は非常高い。
また、この本を読む中で、多くの母親がごく自然に日常的にやっていることが、子どもと母親にとってとても大きな価値を持つことも再認識できた。
500頁に迫る厚い本である。その上、訳語が固く文章もこなれていないのでやや読みにくいが、お薦めの本だ。
「愛着障害」についてだけでなく、母親にとっては自分の子育てを再点検する機会になるし、これから母親になる人にとっては、これからの自分の子育て行為一つ一つの意義を知ることにもなる。
厚さの他に難点がもう一つ。価格が高い。これは相当に辛かった。もちろんこの本で得たものはそれ以上だったが。
虐待領域で愛着に目を向けた最初の本!?
★★★★☆
この本は,被虐待児と被虐待児をあらためて育てようとする大人との関係を治療的に深めていく,愛着の視点を活用した家族療法の本である。
訳は少々こなれておらず読みにくいところがあるが,被虐待児への治療において,愛着という視点を取り入れた治療方法を紹介したという点で,非常に価値のあるものだと思う。
ただ,「愛着療法」と呼ばれているものの中には,アメリカ精神医学会で禁忌とされているものもあり,そうした療法とこの療法との違いについて,この本では説明されていないところが残念な点である。
著者らの和訳されていない他の著書を読むと,こうした禁忌とされているものとは明らかに別の療法であることがわかるのだが・・・。ということころで,☆一つ減点。