長年の期待を裏切らない出来。「〜を読んだ」よりも面白いと思う。
★★★★★
ウィリアム・ブリテンのストラング先生シリーズの短編集。
この「ストラング先生シリーズ」もまたもうひとつの「〜を読んだ」シリーズもそのタイトルだけは聞いたことはあっても、古いミステリマガジンにいくつか掲載されたのみで、なかなかまとめて読むことが出来なかったが、こうやって短編集という形でまとめられようやく読むことが出来るようになった。「〜を読んだ」シリーズがシリーズといいつつも、それぞれの短編自体の関連が無いのに対し、こちらはストラング先生を主人公に通常の意味でのしリーズになっているので、その点でこちらの方が読み易いように感じた。
また、この作家の作品自体なかなかお目にかかることがないため、どうしても翻訳されたこと自体がある意味で非常に幸運だと思いがちで(実際、このシリーズも1冊にまとめられたりはしていないようだし)、どうしても作品自体の出来に対する評価が甘くなりがちだが、この短編集に関していえば、そういった面を差し引いても、ストラング先生のキャラクターも、ミステリとしての出来自体も非常に良く、とても楽しんで読むことが出来た。まだ、今回の短編集に収められた作品以外にも何編かあるようなので、これ1冊で終わりではなく、残っている作品もぜひ読んでみたい。