著者と出版社は自らの「大失敗」を検証すべき
★☆☆☆☆
第二次世界大戦時のドイツ軍の小失敗(ちなみに大失敗=そもそも戦争を始めたこと)について取り上げた本です。本の題材としては悪くなく、問題点(失敗)として挙げている事項については、あながち誤りではないと思いますが、その理由や原因については特に考察するわけでなく、自らの感想を述べているだけです。それもちょっと調べれば分かることまで全くの想像で適当なことを書いています。歴史的な事実関係や兵器の諸元・名称なども非常に誤りが多く、不正確な記述はざっと一読しただけでも約50箇所にも及び(他の書籍と突き合わせて確認すれば更に増えることでしょう)、また公平さに欠けたり短絡的な論評も数多く見られます。すべてが正確な本は存在しないと思いますが、ちょっとひどすぎると思います。
率直に言って、素人がまさに素人考えで思ったことを書いただけ、というレベルです。この本は「大失敗」ですね。高評価をしている人がたくさんいることに正直なところ大変びっくりします。
世界最強の科学技術力を生かせず
★★★★☆
子供の頃、プラスチックモデルに夢中になり、主に第二次大戦中の陸上兵器を組み立てていたのだが、ドイツ軍のものが一番魅力的であった。それに比べ、アメリカやソ連のものは種類が少ない上に個々の魅力も乏しく、印象に残るものがほとんど無い。しかし裏を返せば、ドイツ軍の兵器は統一化が不十分で、趣味に走りすぎて軍事的合理性に欠けていたと言うことである。本書を読んでこのことを強く納得した次第である。
その他、数多くの小失敗を重ねているのだが、それでも日本軍とドイツ軍が戦ったならドイツ軍が勝ったであろう。兵士の資質や科学技術力は世界最強と言えるからである。戦後復興のペースで見ても日本を凌駕している。ドイツと言う国の潜在力は侮れないと、本書を読んで思ったのも確かである。
合理的思考を欠くとこうなる
★★★★☆
合理性の塊と見られていた旧ドイツ軍。ヒトラーのエキセントリックな合理性を欠いた戦争指導と、米軍の物量のために敗北したと思われていたが、実は合理的思考を欠いた、旧日本軍にも共通する病巣を抱えていたと筆者は言う。漫画チックな「最終兵器」開発のプロセスなど、合理性を欠いた思考を笑えない。「日本軍の小失敗の研究」に続く同一著者による良書。失敗の事例は現代の政治における政策決定の失敗、官僚の政策の失敗、企業経営の失敗と見事に同じ。ビジネスマン、官僚必読。(松本敏之)
あくまで評論家による入門書
★★☆☆☆
三野正洋氏の著書は読みやすくポイントを押さえてあり入門書としてはお勧め。 しかし多作作家の例に漏れず底が浅い。 独軍88mm高射砲が対戦車戦に大活躍したのになぜカタログデーターで大差のない他国の高射砲が役に立たなかったなどの研究がない。 照準器や無線機などの傍役の性能は実戦で大いに影響する。 中級書としてオスプレイミリタリーシリーズ(イラストが良くないが)、上級書としてシュピールベルガー氏の著書などをお勧めする。
合理的思考を欠くとこうなる
★★★★☆
合理性の塊と見られていた旧ドイツ軍。ヒトラーのエキセントリックな合理性を欠いた戦争指導と、米軍の物量のために敗北したと思われていたが、実は合理的思考を欠いた、旧日本軍にも共通する病巣を抱えていたと筆者は言う。漫画チックな「最終兵器」開発のプロセスなど、合理性を欠いた思考を笑えない。「日本軍の小失敗の研究」に続く同一著者による良書。失敗の事例は現代の政治における政策決定の失敗、官僚の政策の失敗、企業経営の失敗と見事に同じ。ビジネスマン、官僚必読。(松本敏之)