そういう意味では、ヒラリー・ハーンは見事にこの冒頭の出だしを叙情的に弾ききっている。ハイフェッツやオイストラフといった巨匠にはまだ及んでいないかもしれないが、しかし、十分に聴く価値のある演奏であることは疑いない。
メンデルスゾーンは万人向けだが、何よりも白眉となっているのは、その後のショスタコビッチである。この難しい曲を、彼女は力強く弾ききっており、迫力のようなものすら感じることができる。まだ10代であるのに、このような弾き方はできるのは凄い。凄いとしか言い様がない。彼女が何故世界中で支持されているのかが、良くわかる一枚。