久しぶり!ちっくん。
★★★★★
なんと約20年前の90年代初め、この本にたしか高校の図書館で出会ったとき、すぐにタイトルの意味がわかった。父が車のオーディオ(カセットテープ)で一時期ベンチャーズをずっと流してたので。
ちょっとだけ昔(60年代)の純朴な高校生男子の、ロック音楽との出会いから始まるキラキラワクワクするお話。
みそじの大人になってあるきっかけで読み返し、当時とは違った点からむちゃくちゃ感動した。
周りに登場するいろんな大人たちの愛すべきキャラクター(先生、家族、アルバイト先の人々など)が、すっと入ってきた。
そして、主人公の親友にしてギターの師匠たるちょっと虚弱系の『ギターの鬼』白井くんには、驚きの再会というかデジャヴみたいなものを感じる。
いま、大人になった証拠に、ラストの文化祭コンサートの名曲メドレーをitunesでそろえようとしている(笑)。
非常にいかしたナンバーが続き、白井のギターワークや岡下のドラムを想像すると
くうぅ〜〜となるので大人にはごっつおすすめ。ちっくんの髪型はいまだにうまく想像できないけど(笑)。
映画も、も少ししたら見てみるつもり。今は原作を音楽つきでもう少しかみしめたい。
1965年の熱い青春
★★★★★
ベンチャーズのパイプライン。
当時高校入学直前の主人公に響いた衝撃。
四国の田舎のロック少年たちの高校生活3年間の青春時代を描いた快心作。
当時のことを知らない世代も楽しめる。
四国のなまりも心地良く、こんな高校生活も楽しそうだなと思います。
芦原さんの文章はすなおで読みやすくていいですね。
果たしてこれは小説なのか、エッセイなのか?
★★★☆☆
そんなことはどうでもいいと言われてしまえばそうかもしれないのだけど、自分にはちょっと気になってしまいました。
今とは完全に様変わりしてしまった昔の高校生たちの青春を描いています。
ノスタルジックあふれる曲名が頻繁に出てきますが、今の高校生はほとんどを知らないので、どうかなと思ってしまいました。
デンデケ様の衝撃は今も尚
★★★★★
話は、1965年のある日、うたた寝をしていた香川県は観音寺に住んでる高校生ちっくんの耳に
【デンデケデケデケ】のデンデケの神様の雷が落ちた時から。
『バンドやろうで!』言ってはみたが。楽器もアンプもない、練習場所も。メンバーさえも居ない。
口癖である【どうしよう〜に】状態なのだか、 ちっくんは行動的。
寺の息子フジオや美少年白井、明石のタコこと岡下らと出会って行く。
観音寺の方言もユーモラスで、話しはスピードを増して。
楽器調達の為の夏休み工場のバイトのしんどさと昼休みに食べるうどんの美味しそうな事の
バランス良い書き分けが凄くリアル。苦労して楽器を手に入れ、
友人手製のアンプも持って野外に夏合宿に行ったりするのが良いなぁ。
何気ない日々に入ってきたロックが、平凡な毎日を変えていってるのがよくわかるし。
そんな中で恋愛があったり、進路に悩みまくったりあるから、こそ。
クライマックスの文化祭の演奏シーンが格別に楽しそうで印象的だった。
ちなみに、同時の音楽が現在また再燃。オヤジたちがバンドを再開してるらしい。
が、その親父たちは、実は結構カッコよかったりするのだ!!チョイ悪ぶる事もなく、
長い間人生の折々、頭の中で鳴りっ放しだったサウンドを無邪気に鳴らしてる姿は
バンド小僧その者じゃないか!デンデケさまの衝撃は一生続いて行くのである♪
おすすめの青春小説、今読んでも絶対おもしろいはず!
★★★★★
本書を初めて読んでからもう15年以上にもなる。しかし、これほど楽しくて気持ちよく泣ける青春小説を、わたしはその後読んでいない気がする。
1960年代の香川県観音寺が舞台。ロックに魅せられバンド活動に明け暮れる4人の高校生の物語である。大人になった主人公・ちっくんの回顧風に描かれている。文藝賞受賞作品で、のちに直木賞も受賞した。
何度読んでも新鮮でおもしろさが薄れないこの小説をどこから紹介したらいいだろう。まず、バンドメンバー(と技術顧問)の高校生たち、脇を固める大人たちのキャラクターのよさ。当時は「キャラが立ってる」などという言葉は知らなかったけれど、今彼らを表現するならぴったりかもしれない。それぞれに個性的でおかしみがあって、真剣そのもので、人が好くて、まことに気持ちがいい。
それから文章のよさ。とにかく生き生きとして、ユーモアと躍動感に満ち、讃岐弁になんともいえない味わいがあって、過去と現在(当時を回顧する主人公の「今」)を自在に行き来する達者な文章が見事(もちろんメインは過去パート)。まったく無駄がない。あたかも著者の自伝のように読めるのだが、実は著者がバンドに関わったのは照明係としてだったという。このリアリティ溢れる回顧風の物語が「創作」とは、すごい。
そしてもちろんストーリーの魅力。バンド仲間探し、資金調達、練習、文化祭、やがて来る旅立ち・・・その中に織り込まれたほのかな恋やらなにやらのエピソード、どれも掛け値なしにいい。読者は物語にどっぷり浸り、著者によって喜怒哀楽のベクトルに自然に導かれ、笑わされたり泣かされたりする。もちろん「楽」が圧倒的に多いのだけど、「哀」の印象深さも挙げておきたい。
本書以上に生き生きとした魅力溢れる青春小説を読みたい・・・だが一方で読みたくない気もする、そんな思い入れのある一冊だ。