ドイツ語の周辺に関わりなく働きながら、完全な独習のスタンスで、20年、50まんえんを無駄遣いしてきた。この学習書も、保有して5年くらい寝かせて来たが、ようやくドイツ語に見通しがつくようになった。原本が既に半世紀も前の発行というのも凄いが、ゲルマン一家の関口家の真骨頂にして最高の参考書かと。学習上の息切れ、妨害(初学者の吸収度を考慮せず、急いで詰め込もうとする学習書の多さ)、ごまかし、余計な分断なく、本当に初級文法の習熟を考えた、現在も貴重な学習書。学校で履修してる現役大学生、運よく語学教室に出会えた社会人学生には当然に向かないので、星一つ落とす。中級への見通しも、結局最後には、初級の習熟度が土台になるので、本当に独習するつもりなら、この程度のページ数は自然にして全く合理的。

以前購入したドイツ語の入門書では、一冊に内容を凝縮するために説明が大幅に省かれていたのに対し、こちらはなんともいえない濃厚な解説でした。
著者の語り口が非常にユーモラスで、ドイツ語学習が楽しくなりました。もしドイツ語に限らずこのような内容の濃い参考書があれば、語学習得も楽しくなるのにな・・・。

ほんとうに優れた本です。
３冊ものは１冊ものより売れないそうで、たしかに取っつきにくい印象ですが
限られた語彙を使った用例が豊富で、しっかり身に付きます。
練習問題もそれほど難しくないものを繰り返すため、達成感があります。
間違えたところに気を付けてもう一度やったり、
例文の和訳からドイツ語に直したりすることで、かなり勉強になります。
安くはありませんが、１冊ものの、カラーの、コラム満載の本を買うよりずっとお得だと思います。

語学学習の要諦は「理解すること」と「慣れること」です。

文法事項などで「なぜ」そうなるのかを説明していないと、「理解すること」は難しいですし（単なる丸暗記は中学生までしか通用しません）、実際に多くの例文に触れて、文を覚えないと「慣れること」はできません。

ところが、多くの語学書では「なぜ」を十分に説明していないまま、さまざな事例をだしているため、読んでも理解できないままになったり、おざなりの例文や多すぎる新単語のため、「慣れること」ができなかったりします。

そういう意味でこの本は文法中心の講義と読本(Lektion)によって「理解すること」と「慣れること」がバランスよくできるようになっています。講義の中にある「例文」と「読本(Lektion)」を繰り返し音読し、添付のCDを聞き、和訳やCDの音声を元に書き取りをすれば、ドイツ語の構造は必ず習得できるようになります。特に「読本(Lektion)」では、単語の量を極力抑えながら、さまざまな内容を表現していることがわかります。

唯一の難点は、新正書法に対応していないことです（とはいえ、20世紀までに発行された本の大半は旧正書法ですし、「初等講座」なので、今のままでも十分に読む価値はあります）。

新正書法への改訂は、著者も孫の改訂者もすでに故人となっていますので、難しいかもしれませんが、このままでは名著が埋もれてしまいます。できる限り早急な改訂をお願いしたいと思います。

これ、一体どこが「新版」なのでしょうか？

私が持っている2002年の版も、上中下巻すべて今回の「新版」と同じページ数。
ＣＤの収録時間も同じです。今回も新正書法にも対応していません。

下巻巻末の広告まで2002年版と同じです。『新アクセス独和辞典』の発売から
１年半以上が過ぎているのに、『アクセス独和辞典』の広告のまま。

もしかして、カバーのデザインを変えただけで「新版」？

内容については、既に定評ある入門書ですから贅言は不要でしょうが、
筆者の語り口に対して好き嫌いが分かれるかと思って星四つにしました。