動物語がわかるドリトル先生がサーカスで繰り広げる楽しい物語
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ドリトル先生シリーズの4冊目の本ですが、内容は1冊目の『ドリトル先生アフリカゆき』の、一行が1回目のアフリカ行きから帰ってきた頃に参加したサーカス興行譚です。(1冊目の終わりの記述と、この4冊目の巻の冒頭の記述とは、時系列的には少し矛盾するところがあるように読み取れるのですが、1冊目の解説にあるように、1回目のアフリカ行きから帰ってきたところ、ということは確かでしょう。先生の助手になるトミー少年は、この巻ではまだ登場しません。)
借金返済と生活費捻出のため、ドリトル先生とその家族である動物たちと、ネコ肉屋(飼い猫や飼い犬に、飼い主から料金をもらって、えさを配る商売。さしずめ「ペット・フード屋」)のマシュー・マグとその奥さんのテオドシアが、サーカスに加わります。稼ぎ頭は「オシツオサレツ」ですが、なにしろ、犬や豚、馬はもちろん、オットセイから蛇に至るまでの言葉がわかるドリトル先生なので、物語の展開は、奇想天外。
ドリトル先生の家族の動物たちも、サーカスにいる動物たちも個性豊か。動物好きには、理屈抜きで楽しめる巻です。作者ロフティングのさし絵が、ユーモアを添えてくれます。
ロフティングが、ドリトル先生の物語を書くきっかけになったという、働く馬(第一次世界大戦時、危険を犯して荷物運搬などに駆り出され、負傷すると安楽死として、銃殺された)についても、この巻で理想的な引退先が用意されます。
一部で問題にされた黒人についての記述も、この巻にはありません。子どもはもちろん大人も、純粋にドリトル先生の世界に浸って楽しめる1冊です。