遅ればせながら
★★★★★
有線チャートやトイレの神様が収録されている前ミニアルバムが大好評の植村花菜さんですが、最近はとんと洋楽しか聴いてないもので、遅ればせながら初めて当アーティストのアルバムを聴いてみました。
ベストに近い内容ですが、シングル時とはたぶん異なるアレンジや11曲中8曲を他アーティストとコラボレートしているので、入門者としてはちと敷居が高いような気もしましたが、2度、3度と繰り返して聴くうちに、心地いい声と楽曲に自然と身をゆだねてしまうような、そんな不思議な感覚になってしまいました。
「トイレの神様」は、フックのあるタイトルに引っ掛かったクチですが、親しい人がいなくなって悲しいの先にある、あたたかさを感じさせるいい曲です。
「光と影」はテイルズシリーズのテーマソングだったんですね(PSP版なんでノーマークでした)。真摯な歌詞が気持ちを奮い立ててくれます。
「すばらしい日々」はサビが好きですね。山本潤子さんが参加されてますが、山本さんの憂いのある声質と合わさって落ちつきます。
「Only You」は、海外アーティストの未発表曲らしいのですが、メロディラインがかなり好みで切なくなります。
「花」はラストを飾るふさわしい曲(ボーナストラック除く)。ゆるぎない確かな何かひとつさえ持てたなら、生きてる意味があるのかなと、ふと思いました。
その他全曲通して心地よく、時に切なさや寂しさを感じたりもしますが、心が洗われるような清々しさを感じさせるいいアルバムだと思います。
温かさと切なさが同居する得難い魅力 声から受ける説得力は群を抜きます
★★★★★
疾走感と躍動感に満ち溢れている「ミルクティー」のバックのサウンドと彼女の歌唱の切れ味が心地よく、1曲目からいきなり引き込まれます。歌詞に感情が乗っていますので、聴き手の心の奥底に深く浸透するような声質が魅力でしょう。とても良い演奏でした。
塩谷哲のジャジーなピアノの冴えに負けない「あなたのその笑顔はいいヒントになる」での強い声質に驚かされます。伴奏がこれだけ主張するのですから、並大抵の歌唱力なら埋没しますが、リズム感良く最後まで歌い切っています。力強い中声部から高音にかけて張るところが彼女の持ち味でしょう。声に説得力がありますし、一度聞くとその少しハスキーで意志が感じられる声に魅了されます。
作曲家としての力量も十分で、途中のリズムの変化、変拍子になるところの処理など、聴き手をハッとさせるフレーズィングがあり、シンガー・ソング・ライターとしての魅力も十分に伝わる楽曲のこのアレンジもまたお気に入りの1曲です。
切々とした気持ちがしっかりと伝わってくる「Only You」は、彼女の歌手としての巧さと魅力が感じられる佳曲で、以前から好きな曲です。バラードを歌わせても曲負けしない大きさと大らかさがあり、若いですが大きな器をもっており、様々なジャンルの曲を歌えることを証明していました。
TOKUの温かいフリューゲルホルンの音色が色を添える「紙ヒコーキ」、小沼ようすけのアコースティック・ギターの心地よさを歌にのせている「恋の魔法」もオリジナルより声が前に出ており、説得力が増した感じです。
押尾コータローのギター伴奏で「トイレの神様」を聴かせてもらうとは思いませんでした。ギターは抜群ですね。多くの話題にのぼった説明不要の名曲ですが、ストーリーの良さを伝える歌唱力があればこそ、というのを再確認しました。より豊かな感情を込めていますので、何回も聴いた曲ですが、再び感動は押し寄せてくるでしょう。サビでの歌唱には再び泣かされます。
ハダカの声が聴こえるかな。
★★★★☆
多くのものをそぎ落したぶん、
いい意味で身軽になった彼女の声が、
素材そのままで、CDという媒介なしに
スタジオから直接届いているように聴こえてくる。
ウエムラカナってどうよ、と訊かれたら、
本人に代わって、「どんなもんじゃい」と
ちょっとえばって勧めたい。
でも、個人的にはオリジナルの方を聴いてからの方が、
デモテイクを聴くような楽しみが味わえるし、
植村花菜のことをもっと知れた気になれる。
山本潤子さんのからみはとても自然で、大人。
ハモるとすればそうなるだろうな、という過不足ない音選び。
Only youの大胆なリアレンジも潔い。
塩谷哲とのバトルは、ぜひライブで体感したい。
ただ、トイレ〜のセルフカヴァーは、
まだちょいと早かったような気も。
ゆえに、星4つデス。
「キセキ」が好き。
★★★★★
正直、今まで植村花菜さんのことは知りませんでした。
たまたま、大型書店のCD試聴コーナーに行った時、
今一番泣ける曲「トイレの神様」が入ってますと紹介された
ポップを見て初めて聴いてみました。
確かに、「トイレの神様」は聴いていてジーンと来るものがあり、
とても良い曲です。with 押尾コータローも効いている感じです。
他の曲も良い感じですが、このアルバムの中で一番気に入ったのは、
「キセキ」 with 大橋卓弥(fromスキマスイッチ)です。
この曲は何回も聴いてみたくなるぐらいテンポとメロディが良く、
大橋卓弥さん(スキマスイッチ)のコーラスも素敵です。
今年の秋〜冬に行なわれるライブツアーにも絶対行くぞー!
という感じに気に入ってしまいました。
このアルバムはおすすめです。
彼女の「歌唱力」の凄さがわかるベストアルバムではないベストアルバム。
★★★★★
花菜さんが言うとおり、植村花菜の名刺代わりの作品です。
「ベストアルバム」ではない「ベストアルバム」と言ったのは、1曲を除いて全てセルフカバーだからです。
集められている曲は、いずれも過去の花菜さんの名曲ばかりですが、その趣は全くと言っていいほど違います。
やはり彼女の原点である、アコースティックなサウンドに思いっきりこだわった、そんな透明感が全編を通して感じられて・・・
特に「すばらしい日々」では、あの山本潤子さんと競演していますが、花菜さんの歌唱力は鳥肌ものです。全く負けていない。
また、「光と影」でのDEPAPEPEのギターの疾走感は、バンドサウンドを凌ぐ素晴らしい演奏でした。
唯一の新曲である「伝えたいこと」は、このアルバムの中でもっとも従来のアレンジに近い曲で、個人的にはこの曲だけでも聴く価値があると思います。
花菜さんに興味はあるけれど、どこから入ったらいいか分からない、そんな方におすすめです。
そして、もし気に入った曲があるなら、次にそのオリジナル曲の入ったアルバムも是非聴いてみてください。
全く違うアレンジにびっくりすることでしょう。
個人的に言えばオリジナルの方が好き、という曲も勿論ありますので、このアルバムをステップに是非花菜ワールドへおいでください。
そこには、才能溢れるシンガーソングライター「植村花菜」が皆さんを待っています。