鉄の意志を持つ女性を迫力豊かに描写
★★★★★
「白衣の天使」と名高いナイチンゲールの業績を的確に追いながら
人間的な葛藤や情熱にも肉迫しており、第一級の伝記と言えるだろう。
あまりに恵まれた自分の暮らしとあまりに貧しい民衆の暮らしのギャップに衝撃を受けた少女が、
社交界の無理解やイギリス陸軍上層部の無気力さと戦いながらも
「困っている人たちを助けたい」「私にできることを何かしたい」という
情熱を貫き通した姿は読む者の年齢を問わず感動を呼ぶ。
今こそあらゆる職業において一人でも多くのナイチンゲールが必要なのだと、この作品を読んで改めて痛感した。
ナイチンゲールがトルコの戦場に目を向けるきっかけとなる記事を書いた
ウィリアム・ラッセルが歴史上初の従軍記者という記述も興味深い。
なお、この作品がナイチンゲールの「鉄の意志を備えた情熱家」の側面を強調しているのに対して
小学館版の伝記まんがでは「アイデア豊かなヒューマニスト」の側面が強調されている。
比較して読むと更に面白いだろう。
マンガとあなどるなかれ! 最高の入門書
★★★★★
ナイチンゲールその人に加えて、彼女が生きた時代背景などもコンパクトにまとめたマンガ本。
ナイチンゲールの一生を追ったマンガのパートが主である。断っておくが、マンガは美男美女でいっぱいのバリバリの本格少女漫画で、そこにはまるちゃんは出てこない。まるちゃんたちは、ナビキャラとして、読みものページをもりあげている。
監修がナイチンゲール研究の重鎮、小玉香津子氏なので、内容は正確である。マンガの間に織りこまれている読みものの数々もふくめて、一般の人はもちろん、看護に興味がある人、看護学生、現在看護の仕事をしている人にいたるまで、十分満足できるものになっている。写真や絵がふんだんに取りいれられているのもわかりやすい。この値段でこの中味はお買い得だ。
看護学の入門書として、誰もが楽しみながら知識を学ぶことができる、得がたい一冊として、強くおすすめする!