本当の上野はもっと地味な気がする
★★★☆☆
この本に限ったことではないと思うけど、所謂、
「石田衣良的なカッコよさ」
「石田衣良的なオシャレさ」
「石田衣良的な若者っぽさ」
みたいなものが本気でカッコいい、オシャレ、と感じるなら普通に読めるが、「何かすかした感じがイヤ」と感じてしまう人にはそもそも石田衣良の作品は合わないと思う。
そして結構半々くらいで分かれそうな気がする。
もう作品中の至るところで「オシャレマジック」が満載で少し食傷気味。
例えば後半に良く出てくるアメ横の店の描写とか。いや、そもそも登場人物の会話からしてそんな感じを強く受けた。「〜であります」や「〜なんだ」みたいな表現に。
内容自体は普通に楽しめる(軽めの)青春群像劇です。
物凄く地味になってもおかしくない様な話をオシャレに書いている。
そして、夜の街を地味に守るのであります
★★★★★
レンタルビデオ店のアルバイト店員のアポロ、古着屋の息子のサモハン、文京区役所で福祉課の仕事をしているヤクショ、生活支援施設に所属している天才の4人は「上野アメ横のガーディアン」として活動を始めます。
「この街には理不尽な暴力を許してしまう荒んだ雰囲気がある」という老人の言葉に「ちいさなころから親しんだこの街の空気をよくする」という目的を見つけ自発的に。
放置自転車を整理し、酔っ払いを介抱し、ゴミを拾う……地味な活動を続けているうちに街の人たちから親しまれ、少しずつ頼られるようになって、成長していく過程を小さな事件の起きる短編の連作で展開していきます。
夜な夜な街角に立ち客をとるОL、粗大ゴミを拾う老婆、アンパン中毒の青年、経営する風俗店へシロウトから嫌がらせにあい困っているヤクザ、失踪したダンサー、跡継ぎとして育てた青年が窃盗団の一味になってしまい悩む雑貨屋の店主、アメ横で息子を殺された老人。
派手な立ち回りや仰天する展開はありませんが、日常の普通の会話の中に見える良心や相手に対する思いやりが見えて、心が温まる短編集です。
ガーディアンたちがいつも夕ご飯を食べる安くて美味しい定食屋さんでいっしょに食事をさせてもらったような、満足感と連帯感が味わえるとても読後感の良い小説でした。
嫌いじゃないけど
★★★☆☆
石田衣良は好きなんだけど…。
他の方もお書きになっていますが、「池袋ウエストゲートパーク」と「4TEEN」を足して2で割ったような。
しかも、内容はその2作よりも明らかに薄い。
石田衣良を名乗る別人が書いているんじゃないかと思うくらい。
正直言って、IWGPの既刊をもう一度読んだ方がいいかな。
星も、☆☆と☆☆☆の中間かな。
内容が希薄
★★☆☆☆
石田さんの「4TEEN」と似た内容です。4TEENでは、中学生の性と友情と冒険の青春小説でしたが、この本は、その25歳バージョンって感じです。私は4TEENが好きじゃなかったので、この本も案の定、期待外れでした。というのも、ひとつひとつのストーリーの展開が薄く、ドキドキ感がないのです。いろんな問題が生じていてその都度、あっさりと問題解決してしまうし、なんか、安っぽい子供向けのテレビドラマを見ている感じ。
4TEEN好きな読者にはこの本は好きかもしれませんが・・・。
昼の顔だけじゃ俺達はダメなんだ…
★★★★★
ぶらぶらしてるフリーターのアポロ
実家の古着屋手伝いのサモハン
役所勤めのヤクショ
頭がちょっと弱い天才
この四人と下町の様々な人達が織り成す心温まるストーリー。
私は傑作だと思います。