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解体諸因 (講談社文庫)

価格: ¥730
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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なぜ、バラバラにするのか?? ★★★★☆
西澤保彦のデビュー作。
個人的に初めて読む作家さんです。

●6つの箱に分けられた男
●7つの首が順に挿げ替えられた連続殺人
●エレベーターで16秒間に解体されたOL
●34個に刻まれた主婦
等、全てバラバラに解体されたお話が9つ。

「なぜバラバラにする理由があるのか?」全てのテーマはそこに繋がっています。

事件を紐解く人物も、話によって別々なので
読みきりの1話完結かと思いきや
最後の章の「解体順路」で、何話かが連結しています。
※後でシリーズ化される”匠千暁”や、同じ人物が何度が登場しますが

ご本人も後書きで言ってるように確信的に「ギャグ」要素を入れたとあるように
ストーリー的には、ちょっと強引すぎる部分も多々ありますが
楽しんで読めました。

ギャク的要素はあるけれど、あくまで真面目にパズルを解くように…と。
そこが”バラバラ殺人”とは言えど、血なまぐさく感じない部分だと思います。

こんな理由でバラバラに?…等と、細かい突っ込みはさておいて
「パズルを解くがの如く」という基本的な部分は、十分に面白かった!
バラバラ事始め ★★☆☆☆
本格ミステリーに奇抜なSF的要素を導入した立役者が西澤なのは間違いないだろう。そんな彼のデビュー作を推したのは島荘。。納得も納得、
タイトルに冠してある通り解体をメインに扱った一冊。
総じて良く出来ているし出来すぎてる。思うに推理小説を読まない人間なら誰でも拍手を送るだろう。読む人間には激しく好みが分かれる作品
だろうし、そもそもが作風だろう。
その違和感を説明するのは難しいが...、解説でホームズの名前が出てきて思うが、良作・凡作の概念を抜きにして考えたときに、提示した謎を
解決してすべてが収まる所に嵌ってくれれば納得だ。つまりホームズ様式で謂う所の《推理》は《科学》ってやつだが、西澤作品って結局は
嵌ってるものをわざわざ引っぺがして模索・探求してるから《》の位置が反対なんだろうな。。だからスッキリしてるようで何もかもが破綻
してるもん。
ただ、別にけなしてる訳ではなく、単に事実として西澤の魅力は前提(初期設定)の妙なんだけど、その前提自体が取り留めなくバラバラ
だから、魅力であると同時に足枷なんだろう。帰結すれば好みの問題。
お薦めできないのではなくあまりしたくない。ミステリーを面白くした反面、どうしようもなくつまらんくした。実力あるだけに吉凶混同が...
「解体」尽くしの連作短篇集 ★★★★★


※『16秒間の密室』



※『6つの箱の死体』



◆「第七因 解体肖像」

  街中に貼られていたマンションの広告ポスター
  に悪戯があっため、回収される事態となった。

  なんでも、モデルの女の子の首の部分だけが切り取られたのだという……。

 

◆「第八因 解体照応 推理劇 『スライド殺人事件』」

  女性ばかりが殺され、髪を切り刻まれて首を切り
  取られる、という猟奇的な連続殺人事件が起きる。

  その上、第一の被害者の首が第二の被害者の胴体とともに、続いて、
  第二の被害者の首が第三の被害者の胴体とともに発見されるという
  不可解な「首のスライド」が行われ、被害者は七人にも及んだ……。


  戯曲形式で書かれた、作中作に位置づけられる中編。

  幼稚な動機、そして、それと釣りあわない緻密な犯行が描かれ、
  正直リアリティは乏しいのですが、それは作中作という形式ゆえ。
  本作の存在が、最終話の伏線となります。

  とはいえ、現実味こそないものの、本作の着想自体は非常にユニークで、犯人に
  よる巧みな《操り》、そして犯行の中に、犯人としては禁じ手と言える、ある行為を
  織り込んでいたことなどが秀逸でした。



◆「最終因 解体順路」

  二つの死体の首が入れ替えられ、犯人が自殺した
  事件について、中越警部から相談を受けた匠千暁。

  果たして、犯人の動機とは?


  これまでの短篇を繋ぎ合わせ、長篇にするために書かれた作品。
  とことん「解体」に淫していた短篇群が最後は見事に連関します。




読んでいない人が羨ましい!記憶を無くしてもう一度、最初の読書をしたいよう! ★★★★★
もうここにはじまりここに終わる。ニシザワワールドの最骨頂、ここに全開。
なぜ解体するか ★★★☆☆
 1995年に出た単行本の文庫化。
 著者のデビュー作で、かなり意欲的なつくりになっている。一方で、後年のネジの外れてしまったような奇怪さはなく、安心して(?)読める。物足りないという人もいるだろうが。
 バラバラ殺人へのこだわりを貫いた点が凄い。言われてみれば、なぜバラバラにするのかという問題には尽くせぬ回答が期待される。密室とは違って(それほど)手垢の付いていない問題だし、(密室をつくるのよりも)バラバラにするという理由が合理的に考えられ得る。目の付け所が良かったと思う。
 それぞれのトリックや完成度には不満も残るが、ミステリ史上に残る一冊だろう。