陰影に満ちた声
★★★★☆
ダイナ・ショアはテネシー州ナッシュビルの出身である。ご当地は人種差別のとりわけ厳しいところだ。ダイナは白人専用の学校を出て、幸せな結婚をして一児を設けた。さてここで思わぬピンチが訪れた。生まれた赤ん坊が真っ黒だったのだ。なんと彼女は16分の1黒人の血が混ざっていたことを知らなかった。この予期せぬ一大事が襲ったとき、彼女は両親を訴えたり、子供を始末したり、試練を経験する。この経験は何をもたらしたのか、当人にしかわからない。ダイナ・ショアのなんともいえない深みのある歌声を聴いていると、しみじみと何かが伝わってくる。魂のつぶやき、人生の悲哀、そんな感慨にふけりたくなる。それもどこか心地よくしてくれるところがあり、ときどき無性に聴きたくなる。このCDには心に沁!みてくるものがある。