古い雛人形の旅立ち、亡くなった女の子が遊びにくる古い庭園、病気の妹にだけ見ることのできる不思議な幻想・・・。
美しさの中には死や病も必ず潜んでいるものなのでしょうか。
死や病が作品をより鮮やかに美しくしていました。
挿絵も古風で、のせるべきページに効果的に配置してあったような気がします。
ページをめくるのがとてもわくわくしました。
今よりもっと病や死が身近であった頃、狂女が堂守をし、旅人が一夜の宿を乞い、映画の興行主さえ狐に化かされた時代を温かい筆致で描いています。装丁・挿絵はまさにこの本のテーマにぴったりで、非常に印象的でした。
中学生以上、特に中勘助や泉鏡花、内田百閒などを好まれる方に。