ベルウッド・レコードの30周年記念BOXシリーズ、その及川恒平編だ。ディスク1が、六文銭解散後にリリースしたファースト・ソロ・アルバム『忘れたお話』(73年)、ディスク2がセカンドの『名前のない君の部屋』(74年)という構成で、『名前のない君の部屋』は今回がうれしい初CD化。
六文銭でほとんどの作詞を手がけ、詩人としての才能に長けていた及川恒平が、作曲やヴォーカル面において新たな魅力を切り拓いたのが、この2つの作品。その透明感にあふれた伸びやかな歌声は実に魅力的である。シングル発売された名曲「面影橋から」が未収録なのが唯一残念な点だ。(木村ユタカ)