民法の源流を遡る
★★★☆☆
ローマ法の2000年に及ぶ歴史の書である。
ローマ法も最初から全欧州を覆っていたわけでなく、時代により、地域により、紆余曲折を経ながら、欧州各国における法的伝統の根幹をなすに至った経緯を、比較的短い分量(本文167ページ)でありながら要領よくまとめられている。
本書により、今日の民法における基本概念の多く(例:法律行為の概念、意思主義、不法行為の概念、占有訴権、etc)が、ローマ法の中からどのように生まれてきたのか、それが各国において継受される中でどのような議論がなされたのか、を知ることができ、それにより、民法学習の厚みが増すものと考えられる。