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英語屋さん ―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半 (集英社新書)

価格: ¥693
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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「キミにね、ある人の通訳兼カバン持ちのような仕事をやってもらいたいんだよ…」。著者がソニーに入社して2年目に、降ってわいた異動命令。それはなんと創業者の井深大に「英語屋」として仕えよというものだった。それからけっきょく4年半の間、浦出は戦後日本の最も重要な経営者のひとりと、多くの時間を過ごすことになる。当時を振り返って書かれた本書は、著者でなければ書けなかったであろう数々のエピソードに満ちている。仕事を通じて体得した英語表現のコツも要所要所で公開されているので、実用書として読むこともできるが、一番読者の興味をそそるのは、やはり、著者の体験そのものをユーモアを交えて語った部分だろう。留学などの海外経験は持たない著者が、国際企業のトップにふさわしい「格調高い」英文原稿を書くよう言われたり、幼児教育や東洋医学の用語を英訳したときのとまどいや苦労。孫のような年齢の自分に井深が示してくれた心遣いや、出張に同行したときの失敗談。そこに、著者が心から尊敬するベテラン女性秘書やVIP応接のスペシャリストなど、個性ある人々の存在が華を添える。もちろん、書かれたことがソニーのすべてではないのだが、抱える人材の豊富さや、いわゆるソニー・スピリットの一端がうかがえる話が多い。その意味で、本書が1980年代後半のソニーと井深大氏に関するひとつの貴重な証言であることは間違いないだろう。(秋月美南)
「プロ」の意識 ★★★★★
 さまざまな出来事をゆるやかでおだやかな文章で表現したエッセイである
のだけど、私の関心事は著者の仕事に対する高い職業意識のところに向け
られた。

 通訳という仕事には全く縁がないので、「数字の言い換え」や「年号の変
換」などのくだりも非常に感動してしまった。
 昨今、「ベストエフォート」(最善は尽くすが結果の責任まで持てない)
でやむを得ないという意識になってきている自分の態度を見直すきっかけ
になりました。

よく考えれば,私も「英語屋」志望者だった ★★★★☆
個人的な思い出話だが,下手に理論的な話よりも英語を通じたコミュニケーションの意義や効果の実例に富んでいて,しかも井深大(まさる)という人物の人となりが伺えて面白かった。著者自身画が自らを「ペイペイ」(平社員)という言葉を用いて(記憶は曖昧だが)4回ほど表現している事実から,著者の優しい人となりも感じられる。ソニーくらいになると,早大(政経)卒を通訳に使うんだねぇ。

いまでこそ世間の事情は違うようだが,ソニーは社内人事の点では他の企業とは大きく異なり,寿退社(女性社員の結婚理由の退社)が殆んどなかったらしい。留学経験のない著者をして企業トップの通訳に設えることなど,ソニー社内では“大抜擢”ではないのかもしれない。「4年半」という在職期間から察するに,著者は優れた「受験英語」(35頁)力をそのまま意思疎通手段としての英語にまで育成・増進したことがわかる。

思い起こせば中学の頃,無知蒙昧な田舎者の僕は著者のような企業参謀の通訳を志していた。私も「英語屋」志望者だったのだ。「それまでの人生で最も楽しかった,あの『4年半の休暇』」(199頁)という表現はじつによくわかるし,僕を羨望に駆らせさえする。

井深さんという偉大な経営者の、日ごろの心配りを紹介してくれています ★★★★☆
偉大な経営者、Sonyという会社を構成する人、その周囲のそれぞれの分野の「プロ」の仕事を紹介してくれている本です。また、英語を勉強するテクニックではなく、日本語、英語でのコミュニーケーションの心得とともに、新米社会人が、井深さんや、先輩社員に教えられながら社会人として成長していく姿を紹介してくれています。
英語屋といいつつジェネラリストなビジネス力をアピール ★★★★☆
英語をビジネスの道具として、トップビジネスマンである
井深大さんと過ごしたエピソードを楽しく紹介してくれています。
英語を生業としようと考えている方が、よりエキサイティングな
仕事の仕方を吸収できる話をたくさん収録してくれています。
感動した ★★★★☆
ソニーの井深さんの通訳秘書として使えた人の本。
ソニーの内輪話も面白いながら、英語というものへのスタンスもなかなか興味ぶかい。格調高い英語など、結構勉強になったりもする。
中でも感動したのは、ある生徒が井深さんに学園祭にきて欲しいとのレターを出した。普通は、こんなもの行けるわけがないのだが、その文面があまりにも熱意に溢れ、また、文が達者であったので、井深氏は動かされたというのである。
 これはまさに「すぐれた文章は人を動かす」ということだ、と筆者は言う。なるほど。