啄木、死するときまで
★★★★★
明治の文学シリーズ、石川啄木編。
図書館でなにげなくパラパラと読んでみたのが運の尽き。
取り付かれたように読んでいます。
啄木編なのですが短歌は日記にあるのが少ししかありません。
有名な論評、「時代閉塞の現状」と
彼が綴った日記―明治39年から明治45年―千九百十二年の日記まで掲載してあります。
訳注つきで詳しく解説してあり、大きな字で読みやすい。
啄木の日常の生活から明治最終章(日露戦争以後)の雰囲気、街の風景がかいまみえる。
同時に徐々に追い込まれていく生活、文学者として不如意な生活・・・。
ちょっとプライドが高くて一家の生活が自分にのしかかってくる重圧、
空想に遊ぶ彼、お金のこと・・・。
最期は困窮の中に死がかいまみえる。
そして啄木の生活を綴った日記の閉塞感はなんと今の世の閉塞感に似ていることか!!
読める自分はまだ余裕があるということか。
彼と同じような苦しみだったら、たぶん身につまされて読めなかったに違いない。
困窮の中、現実逃避の為にお金を使う場面もある。
本当に人間臭い男なんだ、啄木くんは。
たぶん漫画「坊ちゃんの時代」三巻はこの日記が参考になっていると思います。