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新編 啄木歌集 (岩波文庫)

価格: ¥945
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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生活に根差した歌としての強さと反面哀しさに満ちている ★★★★★
決して経済的に恵まれていたのではないだろう。生活苦に喘ぎながらも、真摯に「生きる」望みを持ち、明日に希望を抱かせるものがある。生活に根差した詩だけに強固であるが、それだけに反面、人生の哀しさが自然と湧いてくるところがある。いくつか歌を引用しよう。

大といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来れり

こみ合える電車の隅に
ちじこまる
ゆふべゆふべの我のいとしさ

草に臥て
おもふことなし
わが額に糞して鳥は空に遊べり

新しきインクのにほひ
栓抜けば
餓ゑたる腹に沁むがかなしも

すこやかに
背丈のびゆく子を見つつ、
 われの日毎にさびしきは何ぞ。
啄木進化の跡 ★★★★☆
一読、309頁に収載されたローマ字句以前と以降では明らかに作風が異なることが、一目瞭然であるように感じた。正に、桑原武夫の云うように『ローマ字日記』以後は「むつかしい雅語や漢字の表現からの脱却が可能あるいは不可避となり、そこに自由な新しい日本語の表現法が見出され、以後、啄木が、漢字かなまじり文で書くときにも、文体に自由さをまし、民衆的にして新鮮な表現をなしうることとなるのである」(同書岩波文庫版解説253頁より)。そしてそれは、啄木という一人の作家が小説の道からやはり歌の道へと回帰する上での、ある意味苦悩を通じて歓喜に至るかの、あるいは蛹から蝶へと脱皮するかのような道程であったようにも思われる。

以下、気に入った歌を幾つか:
「人がみな/同じ方角に向いて行く。/それを横より見てゐる心。」(177頁)
「何思ひけむ−/玩具をすてて、おとなしく、/わが側に来て子の坐りたる。」(207頁)
「子を叱れば、/泣いて、寝入りぬ。/口すこしあけし寝顔にさはりてみるかな。」(214頁)
「われいまだわが泣く顔をわが母に見せしことなし故にかなしき」(269頁)
「人皆はおのづから老ゆ奈何せむよろしく若き今を遊ばむ」(325頁)
「恋あるは恋に死ぬらむ才あるは才に死ぬらむすべて死ぬらむ」(354頁)
「角に皆炬火したる千頭の牛を放たば心足らむかも」(357頁)
偶像化せずに ★★★★★
『啄木 ローマ字日記』との併読をお勧めする。
すばらしい歌を残した啄木の生身の姿を知った方が、
文学の凄みを感じることが出来る。
ちなみに、『ローマ字日記』には、生活の糧と称して友人に借金し、
その金で女郎買いに出かけるエピソードなども書かれている。
その夜、隣で寝ている女郎の陰部にこぶしを突っ込もうとするような
無茶な話も書かれているので、成人指定にし、
子供の夢は壊さないよう特記したい。
今読んでも、オリジナル。 ★★★★★
青春の哀しい抒情と、皮肉っぽい醒めたユーモアが交錯する世界は、今読んでもオリジナル。教科書に載ってる文豪と言うより、繊細で皮肉っぽい《アウトサイダー》という感じ。読まず嫌いしてる人も多いと思うが、これを読まないのは損だと思います。《名作》というより、一種の《異端文学》。それが、この作品の最大の魅力です。
いい友達になれそう ★★★★★
今まで、「啄木?つまんなそー」と思ってました。
ところが読んでみて、今の自分の心情を的確にとらえた歌がたくさんあって驚きました。
短い歌に様々な思いが込められています。誰が読んでも、「ああそうだよ、この気持ちだよ、啄木さん分かってくれるのかい。いい友達になれそうだな。」と思える歌が見つかると思います。