作を重ねるごとに魅力が薄く
★★☆☆☆
シリーズの3作目で舞台は奈良県の吉野.『役小角(役行者)』が題材となっています.
物語の流れとして,ハプニングや事件が起きてそれを解決…となっているのですが,
いきなりや強引なものばかりで説得力に欠け,物語に引き込まれることがありません.
事件の動機や終盤での対峙にしても,よくある安っぽいドラマを見せられているようで,
『歴史アドベンチャー』と謳うほどの物語性やエピソードといったものが感じられません.
また,主人公とその友人とのやり取りが幼く,前作でもそうでしたがただ喚いているだけ.
ドジとか少し頼りないというのはいいのですが,二人揃ってとなるとあまりに見苦しいです.
シリーズを通じた物語の動きは鈍く,ある人物をチラつかせる演出も毎度となりマンネリ.
辛うじてラストで続刊を期待させられるものの,作を重ねるごとに魅力が薄くなっています.
読みやすく刊行ペースが早いのはよいのですが,もう少し掘りさげたものを読んでみたいです.
なお,著者が描いた作中に登場する犬のイラスト入りしおり(人物紹介つき)がついています.