ドイツが東西に分断されていた1960年代、東ドイツの水泳選手ハリーは、妹のロッテを残して西ドイツへ脱出。その後彼はベルリンの壁をはさんで西から東へ抜けるトンネルを掘り、そこから妹を脱出させようと試みる…。
実際にあったトンネル脱出作戦をモチーフに描いたヒューマン・サスペンス・ドラマ。ベルリンの壁ができた年に生まれたローランド・ズゾ・リヒター監督による執念の作品でもある。最初180分のTVミニ・シリーズを作り、そこから映画用に再編集。ドイツでは10人にひとりは観たと伝え聞いている。一見地味な展開ながらも、観ている間は息をもつかせない緊張感にみなぎっている秀作。東側を決して紋切り型の悪としてとらえず、それぞれの立場の苦悩をも描いているあたりも、ハリウッド型の娯楽映画と違い、当事国ならではの配慮と見識だろう。(的田也寸志)
あっという間の2時間半
★★★★☆
今、この時代だからこそ、映画として製作できた作品だと思います。
ベルリンの壁が崩壊した直後には、リアルすぎてとても・・・当事者も、
そして世界も、なかなか受け入れられなかったのではないでしょうか。
物語はタイトルの示すとおり。
とにかく主人公の執念ともいえるトンネルからの脱出作戦。
そして周辺の人間模様。
時に省略されてしまいがちな、そういう人々も、丁寧に描くことによって、
より現実の怖さ、リアルさが伝わってきます。
今は水没しているというトンネル。
東西ドイツを知る上でも、見ておいて損はない作品です。
地味ながら、かなりしっかりした名作!!!
★★★★★
突如として建設された「ベルリンの壁」によって、理不尽にも家族や大切な人と引き裂かれてしまった人々。壁を突破しようとするものは、東側では即座に銃殺という残酷さ。それでも諦めることができず、壁の下にトンネルを掘って脱出を図るという、映画ならではのモチーフ。これが実話を元にしているというのも驚きであるが、本作はそのようなことが気にならなくなるような名作。三時間ほどの長さが、全く気にならず、一気に見てしまう。トンネルを掘る過程のはらはらどきどき、掘ってから東側の人たちを連れ出すときのスリル(秘密警察の追跡が、不気味な迫力です)、こうした部分は娯楽作品としてみれば見せ場になるわけであるが、本作は押さえた演出で、そうした娯楽的な軽薄さに背を向けているにもかかわらず、やはり引きつけていくところが凄い。リアリズムの凄さとも少し違う迫力は、やはり本作が登場人物の様々なドラマを丹念に描いているところによります。様々な人たちの様々な事情、見ていて、思わず感情移入せずにはいられないほどです。製作者の執念すら感じさせるこの凄さは、ちょっとほかの作品では見ることができません。断然のお薦め!!!特に、ジャケットになっているシーン、涙なしには見れません。
期待しないで観たので
★★★★★
予備知識なしで何となく面白そうと思って観たら、ウルトラおもしろかった!3時間という長さを全く感じさせないのは、なんといっても脚本の面白さでしょう。主人公も最初は剥げてて、脂身の多いブルース・ウィリスみたいな顔したオッサンだなぁという印象だったのに、物語がすすむにつれて、渋くダンディでたくましいナイスガイにイメージが変わっていったぞ。唯一、不満なのは主人公のオッサンとヒロインが、その後ひっついたのかひっつかなかったのかあやふやだったところ。凄い気になるぞ。でも多分、ひっついたんだろう。
善と悪の戦い
★★★★★
戦争によって引き裂かれる恋人、親子、兄妹・・・それぞれの切ない思い。乗り越えられない壁だってトンネルを掘るという手段がある。
真実の愛はどんな脅しにも屈せず、たくましい。
3時間以上の映画だというのに充実感であっという間。
人生の「壁」にぶつかっているあなたにお奨めです。
ベルリンの壁を越える人々の努力に注目です
★★★★☆
東ベルリンから西ベルリンへの脱出の物語です。シュタージ(秘密警察)への協力者IM(Inoffizieller Mitarbeiter)になる者,シュタージの無機質な拷問にあう者,シュタージに捕まりそうになる者も出てきて,最後までハラハラドキドキです。エンディングでシュタージの幹部と撃ち合いになったりしないのが,ハリウッド映画とは違うドイツ映画の味わい深いところです。あくまでも映画の中のストーリーですが,主人公たちのスポンサーとなって資金や人工を提供することになる映画会社のスタッフ役も出てきて,こちらはまたなんと俗物っぽいこと。
このようなストーリーが,つい15年前までは本当にあったということは,チェックポイント・チャーリーにある壁博物館に行くとよく分かります。
是非グッバイレーニンと一緒に見ておきたい映画です。