エリスの原点
★★★★☆
~主にロスアンジェルスを舞台にした、エリスの初期短編集。
よくも悪くも80年代的ではあるけれども、未来が見えない今日的状況に至る道筋と考えれば、決して過ぎ去った時代の話とも思えない。21世紀の暗い世相が、この本の中で遥か昔にinformされていた、ということでしょう。
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この本の発刊は1994年だけれども、書かれたのはデビュー作の「レスザンゼロ」以前だということです。それゆえ、作家が「レスザンゼロ」や「アメリカンサイコ」という長編に発展させる前のスケッチ的な文章を読める、というマニアックな面白さがあります。
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英語については、俗語などは極めて多いけれども、ストレートフォーワードで読みやすい。独特の乾いた文体です。~