NHKラジオの朗読番組でもおなじみのエッセイスト、三宮麻由子さんの文章は謳うような絵筆のリズムに満ちている。私たちの見落としているものを見せてくれる秀逸なエッセイ。全盲に研ぎすまされた豊かな感覚の各章に魅了される。言葉の絵画を描く三宮麻由子の世界を感じ、追体験するためにこの一冊はゆっくりと読みたい。

　本書は、4歳のときに全盲になってしまった方のエッセイである。そのせいだろうか、描写が細部にわたり、丁寧である。常人とは違うような気がする。また伝わってくる気が少女そのものである。思わず、著者の年齢を確認してみたが、少女と呼ぶには失礼に当たる年齢であった。しかしながら、感性は少女であり、読んでいると、いつの間にか少女が書いているエッセイのように信じて疑わなくなる。実に不思議である。著者は純粋なのだろう、と結論付ける。著者はエターナル・ピュア・ガールである。