これぞカーペンターズの原点
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自分の音楽があり、それを外に出したくて意気盛んな、気負いに満ちた若者の傑作だ。確かに、完成されたカーペンターズサウンドとは「違う」ものに満ちてはいる。しかし、これは紛れも無い「カーペンターズ」だ。後の”HORIZON”、”A KIND OF HUSH”にまっすぐ通じる本質が、既にここに100%現れていて感動的だ。
リチャードとカレンの才能がまだバランスを取れておらず、アレンジャーとしてのリチャードが主導権を握っているが、うら若きカレンのヴォーカルがなんとも愛らしく色っぽい。そのまだ未成熟な歌声が、カーペンターズ初期のJAZZYなアレンジに乗って縦横無尽に駆け巡る様は、まさに若さのなせるワザ。リチャードの既に才能あふれる小憎らしいほどのアレンジも心の琴線をくすぐる。二十歳そこそこの若者が既にここまで高度なサウンドを確立していたことには驚嘆の念しか浮かばない。
完成されたカーペンターズサウンドを知ってこそ味わえる初期の名作、と言っては当時のリチャードとカレンに失礼だろうか。だが今聴いても、多少古くはあれどその孤高の高みにまで登りつめるカーペンターズの勢いが実に微笑ましく心の奥底にまで染みてくる。天才にしてなしえる仕事だ。耳あたりのいい上っ面だけでなく、その本質まで心して味わえば、至福の喜びが訪れる。甘酸っぱい青春の思い出に酔い痴れたい。これぞ原石のカーペンターズ。
カーペンターズというジャンルの創世記
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当初"OFFERING"というアルバム名でデビューしたが、後に"Ticket to ride"とアルバム名を変更した伝説のアルバムだ。アルバム名ともなっている゛Ticket to ride"は彼らが最も影響を受けた3B(ビーチ・ボーイズ、ビートルズ、バート・バカラック)の一つビートルズの作品のカバーだが、後にベストアルバムなどに収録されているのはカーペンターズとしての地位を確立してから再録音されたものだろう。また、カーペンターズの活動後期には残念ながら影をひそめてしまう事になる偉大な天才ドラマーとしてのカレンの実力も知ることができる。このアルバムのほとんどすべての曲でカレン自身がドラムスを担当している。このアルバムに収録されている曲を聴くと、カレンのあの宝石の歌声の原石を聴くことができる。まだ荒削りだが、カーペンターズのとんでもない才能を垣間見ることができる貴重なアルバムだ。リチャードの見事なアレンジ、カレンのしなやかなドラム・スティックさばきと珠玉の歌声、まさにジャズに原点を発する「カーペンターズ」という新たなジャンルの誕生に立ち会うことができる唯一無二のアルバムだろう。
カレンのドラムスが聴ける1st!
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カーペンターズの記念すべき1st。
カーペンターズと言うと、「イエスタデイ・ワンス・モア」などの独特の曲調をもつヒット曲を思い浮かべますが、ここではまだ、そこまでオリジナリティは発揮されていません。その代わり、リチャードのそしてカレンの若さが強く感じられます。レコード会社側も彼らの実力にどう応じてよいのか分からず、結局彼らの若い力に引っ張られていったのでは、とも思います。
冒頭の「祈り」から、リチャード、カレンの素晴らしいハーモニーが聴けます。彼らの家はこういう音楽に満ちた家庭だったのでしょう。私はこのアルバムを聴くといつもそういう暖かい家庭が頭に浮かび上がります。
さらにここでは、カレンのドラムスが楽しめます。以前は他のミュージシャンのものに差し替えられていたのですが、最近のCDでは、オリジナルのものであるカレンのものに戻されています。特に上手いと言うわけではありませんが、彼らの歌唱とあいまって暖かい思いにさせられます。
「涙の乗車券」の名カバーが入っていることでも有名なこのアルバム、お勧めです。
日本盤では「遥かなる影」も収録されてました。
★★★★☆
記念すべきカーペンターズのデビュー盤。
70年代当時、これを聴いていつも感じたのは、リチャードの「気負い」のようなものかな。
オープニングとエンディングをそろえてトータル・アルバム的にした作りといい、「ワンダフル・パレード」の出だしのリチャード自身のアナウンスといい、「ちょっとやりすぎちゃうか」といつも思ってた。
その点、二枚目の「遥かなる影」の方が、アルバムとしての完成度は高いと感じる。
ラスト前の「歌うのをやめた私」はまずベスト盤には収録されないが、盛り上がり感たっぷりの佳曲。
タイトル曲の「涙の乗車券」はオリジナルと全く違ったアレンジで、リチャードの才能を強く感じさせる。
ところで70年代半ばに日本で発売されていたこの「涙の乗車券」には、「遥かなる影」も収録されていた。
マニアの人は知ってるかな?
DEBUT!
★★★☆☆
このアルバムはカーペンターズの記念すべきデビュー作。私としてはやはりこの頃はまだカレンも若くて、後年の熟したあの素晴らしい歌声に比べるとどうしても・・・っていう感じにはなります。ただファンとしてはその軌跡も知っておくのもまた一興かな、と思います。だからといってカレンの歌声の素晴らしさ、リチャードの才能あふれるサウンドは変わるわけではないし、カーペンターズはいいなぁって感じる1枚ですよ。それにこのアルバムではリチャードもリードヴォーカルをしている曲も何曲かあり、それを楽しむのもまた喜びです。私のオススメは8.DON'T BE AFRAIDと10.ALL I CAN DOですね。8はこれぞカーペンターズって感じのいい曲だし、10はちょっと荒いサウンドがいい感じなんですよね。 若き日の彼らの作品をぜひ一聴あれ。