シャーマニズムは世界宗教の基盤
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シャーマンとは、共同体の利益のために、エクスタシーを行使するものと、エリアーデは定義する。
エクスタシーとは、霊魂が肉体から離脱すること、すなわち、脱魂 とも 魂抜け ともいわれる幽体離脱、体外離脱 に相当するのだろう。
エリアーデは、シャーマニズムとは、天上の至上神信仰と、天地の間を行き来するという信仰を中心とした古代的、超歴史的な宗教の残存であると断言する。この エクスタシーは、文化や歴史によって生まれたものではなく、人間性と広く共存しているので、人間にとっての、根本的現象であると。エクスタシーは、古代人類の共通の体験であり、旧石器時代の狩猟民の宗教であるとも。しかも、アジアに限らず、ヨーロッパ、南北アメリカ、東南アジア、オセアニア、インド、中国で見出されるが、アフリカでは、明瞭でないという。
それならば、人類の一回限りといわれている、出アフリカのグループに存在していた宗教形態であったであろうと想像できる。人類の数万年前からの宗教的基盤を基礎に、共同体が、余剰な生産力を生み出して、社会経済的な発達に伴い、2千年前に世界宗教が誕生してきたのであろうと考えさせられた一冊。