言いたいことはわかるが・・・
★★★☆☆
最後に一筋の光をヘイゼルは見ることができたのでしょうか。
この作家の立ってる位置に傲慢さを感じるのですが、いかがでしょう。
信仰心あるファナティックな人がストーリーを書くとこんな感じになるのかな。
漫画家志望の作家だけあってとっても映画的です。
きっかけにはいい本だと思いますが、神に反吐が出そうな人間には反吐が出ます。
一見カルトだが
★★★★☆
「祈るな。それは嘘だ。」
めずらしく、オビ買いした一冊。
神はいるかいないか、救いはあるのかという宗教的な問題がテーマの物語。
「キリストのいない教会」を説いてまわる主人公ヘイゼルは、言動ともにかなりクレイジーだ。
しかし彼は、嘘がつけない、徹底的に不器用な、誠実な人間である。
だから彼が迷い、自分の矛盾に絶望し、転落していく様は、見ていて痛々しい。
本書、内容はともかく、訳が微妙なところがある。
主人公の名前がヘイゼルだったりヘイズだったりと一致していないし、同じような単調な訳があったりする。(読めないほどではないが)
一見、カルト宗教じみたキテいる人間だらけのやばい小説に見える。
が、テーマは「神への姿勢」という、宗教的に普遍なものである。
また、これはあくまでコミック小説であるらしい。
ゴリラの衣装をまとって踊る青年や、ミイラを大事にする少女など、コアに笑える部分もある。
(コアすぎる気がしないでもないが…)
この世界では、生きたくない。
★★★★☆
この本の主人公は俗に言う所の「サイコ野郎」なのだが、その度合と質は
A.クリストフの「悪童日記」の主人公のそれとは大きく異なり、饐(す)
えた臭い、哀しい町並の1950年代のアメリカ(と今の日本?)の地方都
市ならではの、残酷で、ぺらぺらで、矮小で、そのくせ信じがたい程の思
い上がり溢れる「サイコ」ぶり。
「キリストのいない教会」とはよく言ったもので、これは多くの新興宗教
の本質でもあるのだが、彼(主人公)にとっての“救済”から来る必然は、何
故か、およそ宗教とは無縁の私達の心に、強い郷愁と、行き場のない怒りに
溢れた焦燥を感じさせてくれる。
兎にも角にも、アメリカ文学の(隠れた?)傑作ですので、是非。