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死刑囚の記録 (中公新書 (565))

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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東京拘置所の精神科医官を経験してきた著者。死刑囚の心理状況の記録。死刑囚たちのさまざまな生い立ちと事件を背景に、死刑とは何か、また考える。
精神科医が死刑囚を研究した本。 ★★★☆☆
死刑囚と関わった精神科医の著書。死刑という刑罰を客観的に諭しているが、読後には著者の「廃止」の理がよくわかる。

死刑囚には独房で拘禁反応が顕著にみられ、自身の存在や犯罪歴が、人事のように感じ、虚言や暴れるといった問題行動も多い。問題は、それを「自覚」できない点であって、罪を反省することはもとより、死刑の刑罰すら理解できないことも少なくない。そして、独房には拘禁反応を助長する材料が揃っていて、抑止するものが何一つない。

囚人が精神を患うと、それが独房で助長されて罪の重さや贖罪の念が風化しかねない。その中で刑を執行することに意義があるのか―。と、読み取れる。

また、ある囚人が発した「殺すために生かしている」という点で日本の死刑制度(執行までに時間がかかりすぎる)の提起を、考えざるを得ない。

死刑制度を廃する参考文献の1つとして実に秀逸だが、本書に登場する死刑囚は、男性ばかりである。女性ではどのようであるのか、その点が知りたかった。ので、☆3つ。。。
精神科医という視点から見た「死刑廃止論」の基本文献のひとつ ★★★★★
先日古い本を整理していて発見、一気に再読した。
東京拘置所で精神科医として多くの死刑囚と接してきた著者の、「死刑執行に至る拘禁状態」という独自の視点から死刑の廃止を求めた書である。

購入は発行間もない時期である。発行以降の二十余年を振り返ると様々なことがあった。
まず免田さんをはじめ、再審で死刑から「帰還」を果たした人が何人も出た。
さらに私にとって最も衝撃的なのは本書にも登場する戦後の日本法医学の大権威とされた人物の数多い「血液鑑定」が、その死後になって(!)事実上「捏造」であることが明らかになったことである。

にもかかわらず、いやヨーロッパ諸国から期限付きで死刑制度の再検討を米国とともに求められながら日本は無視し、「死刑制度維持」の意思表明としてここ数年は毎年1〜2人の死刑執行を行っている。
しかも議論を避ける為に国会の休会時に執行するのが常態化した。想像するに今の拘置所では死刑囚は国会の閉会・延長にも過敏になっているだろう。

本書は発行後四半世紀を経たし極めてユニークな立場からのものではあるが、読んだ方はお解りのように随所で著者が検討している被告に対する「精神鑑定」の不確実さとあわせて、「死刑廃止」に関する基本文献のひとつとしての地位は失っていない。
むしろ、前述のように死刑を巡る「科学的鑑定」の不確実さという点では現在の方が多くの問題点を提起しており、輝きが増しているように思う。

法務省は死刑制度維持の理由として「国民のアンケート」が維持多数を示していることをあげるが、死刑廃止国(事実上の廃止も含め)の多くが民意に「反して」、高度な政治的判断として「廃止の道」を選んでいる。日本より先に廃止への道を選択した韓国もそうである。
が、悲しいかな、我が国の国会は「議論の場」としての機能を殆ど失っている。

このページを見られるような理性的読書人に是非購読して、この大問題に向き合って欲しいと願う。

作家と死刑囚とのあいだの対話の記録 ★★★★★
加賀乙彦氏は、現代日本を代表する小説家であり、精神医でもある。東京拘置所の精神科医官となり、多くの死刑囚と面接する立場になった。この作家は、死刑囚たちが置かれている極限的状況下の心理を分析し、報告している。精神医として死刑囚たちの様々な異常心理、病的状態を科学的に観察する態度を保ちつつも、実際に拘置所で創作に目覚めた死刑囚と文学談義をしたり、信仰に目覚めた死刑囚と人生、宗教、神について語り合ったりして、人間的な絆が結ばれたこともあったことも伝えている。最後に死刑囚と無期囚の違いが吟味されるが、実はこの点は、著者が範とするドストエフスキーの創作の秘密と深く関わっているので、同じ中公新書の著者の『ドストエフスキイ』も合わせ読まれることをお勧めする。
死刑囚の実態 ★★★★☆
精神科医の著者が、死刑囚がどのような精神状態になるかを
淡々と述べている。特にここに出てくるクリスチャンの死刑囚との交流が
後の彼の著書「宣告」を生んだ。
いつ死刑になるかわからない、という精神的に追い詰められた状態にある
死刑囚の描写は、ときに本から目をそむけたくなるほど、ショッキングだった。